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トピックス(2009年5月~)

大阪で「税金一括納入すれば生涯払う必要なし」と語る詐欺が横行

2009年08月10日

府税事務所の職員を装った振り込め詐欺が多発していることから、大阪府が厳戒態勢を敷いています。

大阪府では「税務職員をかたり、お年寄りから現金をだまし取る事件が発生している」と警戒を強めています。そして、実際に起きた今年5月20日の事件を取り上げ「実在しない区役所納税課職員名で『各種、税金のお取り扱いについて』という題名の文書を作成し、事前に自宅を訪れ、70歳以上の高齢者を対象として、指定された方法により一括納入すると今後一生涯税金を払う必要がないといった、架空の納税制度による納税勧奨を行い、後日納税者の自宅を訪れ、多額の金銭をだまし取った」という巧妙な手口を公開しています。

 さらに、大阪府では「税金を還付するためと称して、住所、生年月日や取引銀行などの個人情報を電話で聞きだそうとする事例」や「企業や事業者に対して、自動車税の税率が変わるなどの理由で従業員の独身者(単身者)の名前などを聞きだそうとする事例」を紹介。あの手この手でお金をだまし取る糸口をつかもうとしている輩がうごめいていることを府民に周知しています。

各府税事務所も、「不審な電話がかかってきたときには、即答を避け、相手の所属、氏名、電話番号などを確認していただき、府税事務所の担当課までお問い合わせください。また、税務職員が調査などで納税者の自宅等を訪問する場合には、身分証明書(顔写真付)を携帯しているので、所属や氏名等を確認してください」と納税者に注意を促しています。

国税庁が「非上場株式の相続税80%納税猶予制度」で担保の提供方法示す

2009年08月10日

今年度の税制改正で誕生した「非上場株式の相続税80%納税猶予制度」では、自社株を担保として提供することが適用要件とされていますが、このほど、その担保を提供する際の手続きを国税庁が明らかにしました。

中小企業が事業承継をスムーズに行なえるようにすることを目的として創設されたのが「非上場株式の相続税80%納税猶予制度」です。財務省では事業承継税制と呼んでいますが、具体的には、経済産業大臣の確認を受けた経営承継相続人(事業を承継する息子など)が、非上場会社を経営していた被相続人(死亡した親など)から相続によりその会社の株式を取得して会社を経営していく場合に、経営承継相続人が相続により取得した議決権株式に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されるというものです。

適用にあたっては、相続税相当分の担保を税務署に提供する必要があるわけですが、その際の手続きについて国税庁は(1)法務局(供託所)に備え付けられている担保のための供託書(正本・副本)を作成する、(2)作成した供託書(正本・副本)を法務局(供託所)に提出し、内容の審査を受ける。審査後、供託書(正本)(「受理した旨」が記載されたもの)及び供託有価証券寄託書が返却される、(3)法務局(供託所)から指定された日本銀行へ、供託書(正本)(「受理した旨」が記載されたもの)、供託有価証券寄託書及び株券を提出する、(4)供託書(正本)(「納入された旨」が記載されたもの)が返却される、(5)税務署長にその供託書(正本)を提出すると、担保関係書類の預り証が交付される―、と説明しています。

中小企業への事業税の外形標準課税が東京都税制調査会で浮上

2009年08月03日

さきごろ開催された東京都税制調査会の平成21年度第5回小委員会でのこと。沼尾波子委員(日本大学経済学部教授)が法人への外形標準課税について「適用を拡大する必要がある」とした意見を出し物議を醸しています。

第5回小委員会のテーマは、政府の中期プログラムについて「法人課税については、国際的整合性の確保及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベースの拡大とともに、法人実効税率の引下げを検討する」とされていることについて、どのように考えるかを検討するものでした。

沼尾委員は、先進諸国の企業の法人所得税と社会保険料雇用者負担を足したものを、GDP(国内総生産)と対比して「日本はアメリカ、カナダ、イギリスと比べると高い水準だが、フランス、イタリア、スウェーデンなどの国々と比べると高い水準とはいえない」として法人課税の負担軽減に否定的な姿勢を見せました。そして、現在資本金1億円以上の法人に対して地方税の事業税とは別途課税されている外形標準課税について「資本金額を減らして、課税を逃れるケースが出ていることから、適用を拡大する必要性がある。事業税は応益負担原則の考え方に基づき幅広く徴収した上で、支援が必要と判断された場合は補助金を出すという考え方もある」としました。

つまり、不況で資金繰りに苦しんでいる中小企業に対しても外形標準課税を行なうことを提案したわけです。今後、東京都税制調査会の審議の行方に注目したいものです。

中国・九州豪雨の被害者に国税庁が課税措置の救済手続きをPR

2009年08月03日

「中国・九州北部豪雨」の被害者に向けて、国税庁が課税措置の救済があることをPRしています。

近年、取り沙汰され始めたゲリラ豪雨が、今年も日本を襲いました。被害に遭ったのは中国地方と九州北部地方です。そこで、被害者に対して国税庁が急きょ課税措置の救済手続きがあることを告知しました。

救済手続きは全部で4パターンあり、一つ目は「災害により申告・納税等をその期限までにできないときは、所轄税務署長に申請することにより、その理由のやんだ日から2カ月以内の範囲でその期限が延長される」というものです。二つ目は「災害により、財産に相当な損失を受けた場合は、所轄税務署長に申請することにより、納税の猶予を受けることができる」というもの。そして、三つ目は「災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、(1)確定申告で所得税法に定める雑損控除の方法、(2)災害減免法に定める税金の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部または一部を軽減することができる」としています。

事業者が注目したいのは四つ目の消費税に関するもので「災害により被害を受けた事業者が、当該被害を受けたことにより、災害等の生じた日の属する課税期間等について、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、または適用を受けることの必要がなくなった場合には、所轄税務署長に申請しその承認を受けることにより、災害等の生じた日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けること、または適用をやめることができる」としているものです。消費税は預かり金的な性質があるので、税務署も監視の目を光らせているだけにこの手続きは無視できないものがあります。

横浜市民の定額給付金の市への寄附は寄附金控除OK―東京国税局が承認

2009年07月27日

横浜市が実施している「定額給付金の市への寄附」について、このほど、東京国税局が寄附をした横浜市民に所得税の寄附金控除の適用を認めました。

横浜市は、今年5月から政府が景気対策として実施している定額給付金について、受給申請と同時に、横浜市への寄附を募っています。寄附する定額給付金の使い道については、(イ)若者の雇用確保のための支援 、(ロ)高齢者の安全確保のための支援 、(ハ)配偶者からの暴力によりシェルター等に保護された女性や子ども、児童福祉施設に入所している子ども、障害者地域作業所の製品販売、日本語の不自由な外国人の生徒の学習などへの支援、(ニ)使いみちは横浜市におまかせ―の4つから市民が選択する方式です。

しかし、総務省の「定額給付金給付事業費補助金交付要綱」によると、定額給付金は、申請者に対して給付することが要件とされているため、定額給付金と寄附金を相殺することができない形になっています。そこで、横浜市では、定額給付金を寄附しようとする受給者である世帯主の手続負担を軽減するために、世帯主に代わって「特定非営利活動法人市民セクターよこはま」(以下、NPO法人)に代理受領してもらうことにしました。

問題は、定額給付金を寄附した世帯主が所得税の寄附金控除を適用できるかどうかでした。そこで、横浜市は、NPO法人を介して横浜市へ寄附する行為が寄附金控除の対象となる「国又は地方公共団体に対する寄附金」として取り扱ってよいかどうかを東京国税局に照会していたわけですが、それに対してこのほど同国税局が「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない」と回答しました。

総務省が地方公共団体が発行する地方税の納付書様式統一を検討

2009年07月27日

(社)全国地方銀行協会が要望していた「地方公共団体が発行する地方税の納付書様式の統一」について、政府の規制改革推進室の要請を受けて総務省が検討を始めました。

じつは、「地方公共団体が発行する地方税の納付書様式の統一」については平成18年4月に総務省が、全国の地方公共団体に留意通達を出すなどの対応を行っています。また、平成19年6月22日に閣議決定された「規制改革推進のための3か年計画」においても、地方公共団体あてに様式例を提示して早期統一の実現へ向けた努力を継続するとされました。

しかし、その後は、納付書様式の早期統一に向けた有効な措置が取られておらず、納付書様式の統一化はまったく進んでいません。同協会の調べでは、全国の1,089の地方公共団体の指定金融機関を地方銀行が務めていて、年間約1億7,000万件もの地方税を窓口で収納しています。しかも、同協会の試算では、地方税の納付書様式は、全国で約4万7,000種類にものぼると推計されていて、こうした状況が納税者や地方公共団体、金融機関に多大な負担の要因の一つとなっているとしています。

政府と総務省では、地方税の徴収体制の強化と納税者の利便性向上を目的として、地方公共団体に対して電子納付やコンビニ収納などの施策を奨励していますが、同協会では「その施策を推進するためにも、金融機関やコンビニで共通で使用でき、しかも、電子納付の実施や地方公共団体の内部事務の効率化に役立つ納付書の規格・様式の標準化が不可欠だ」と強調しています。

商店街に活気を生む事業に補助金―中小企業庁が支援事業スタート

2009年07月21日

シャッター街と呼ばれる商店街が全国各地に増えていますが、このほど中小企業庁が平成21年度の地域商店街活性化事業費補助金(平成21年度補正予算事業)の募集を始めました。

同事業費補助金は、商店街振興組合などが行う消費を誘引するイベント事業や情報発信事業等に対し、その費用の一部を国が支援することで中小商業の活性化を図ろうというものです。補助金の補助率は事業費の3分の2で、上限金額は2億円です。

気になるのは補助対象事業者ですが、商店街振興組合や事業協同組合だけでなく、社会福祉法人や、定款などにより代表者や活動内容、財産管理方法について確認できる民間事業者も対象となっています。

実際に補助金が支給される補助対象事業については「地域における消費拡大及び商店街等における中小商業の活性化を図るイベント事業若しくは情報発信事業を行うとともに、①少子高齢化、安全・安心(新型インフルエンザ対策を含む)、②環境・リサイクル、③地域資源・農商工連携、新技術活用・生産性向上―といった社会課題のうち複数の課題に対応した事業が含まれていること」とされています。「社会課題に対応した事業」について中小企業庁では「空き店舗を活用した子育て支援施設や高齢者交流施設の設置・運営 」「防犯カメラや防犯灯の設置 」「商店街リサイクルステーションの設置」などを具体例として掲げています。

同事業費補助金の募集期間は、今年7月13日から7月31日までです。応募する事業者は、市町村の商業振興担当課に地域商店街活性化事業要望書などの関係書類を期限までに提出することになっています。


地方銀行協会の規制改革要望で分かったペイジーが普及しない理由

2009年07月21日

(社)全国地方銀行協会(会長=小川是横浜銀行頭取)が、このほど政府の規制改革会議に提出した要望書で、地方税の電子納税(ペイジー)がスムーズに普及していない状況が明らかになりました。

全国地方銀行協会は、規制改革会議に「電子納付にかかる指定金融機関制度の改正」を要望しています。その内容を見てみると地方税においてペイジーが普及しない原因が記されていました。具体的には「地方税の収納は、現在、地方自治法令により、各地方公共団体がそれぞれ指定金融機関、収納代理金融機関等を指定して、納入に関する書面に基づき、収納の事務を取り扱わせる制度となっているため、納税者は、各地方公共団体の指定金融機関以外では地方税の納付ができない」という状況があることをまず説明しています。

そして、地方税の電子納付について「技術的には、マルチペイメントネットワークを活用した電子納付(ペイジー)の取扱いが可能な全ての金融機関から納税者が電子納付を行うことが可能となっている。しかしながら、制度的には、各地方公共団体の指定金融機関以外からは電子納付の取扱いができないという制約がある」としていて、地方銀行の中には指定を受けていない銀行が少なくないことを示唆しています。

ペイジーの取扱いを可能にするには、システム導入に高額な費用がかかるわけですが、その高価なシステムを導入しても制度的に納税者が利用できない状況があるために、地方銀行がペイジーの取扱いに消極的になっているわけです。同協会では「各地方公共団体における指定の有無に関わらず、ペイジーの取扱いが可能な全ての金融機関から納税者が地方税の電子納付を行えるようにしてほしい」としています。

会社が自治体に提出する住民税額は電子メールにして―日本経団連が要望

2009年07月13日

今年6月に公益法人や民間業界団体から寄せられた規制改革に対する要望書を内閣府規制改革推進室が公表しました。それによると住民税の特別徴収税額の電子データ提供を可能にすることを日本経団連が要望しています。

規制改革推進室に平成21年6月1日から30日までの間に寄せられた提案・要望は、合計で775件でした。内訳は167件が経済特区・地域再生に対する提案で、608件が全国で実施すべき規制改革要望となっています。

税金関係で注目されるのは(社)日本経済団体連合会(日本経団連)から新たに提起された「個人住民税の特別徴収税額の電子データ提供」でした。その内容は「住民税特別徴収に係る手続について、全国の市区町村の共通の電子手続システムを構築するなど、電子化及び窓口の一元化を行うべきである」としています。その具体的な提案理由について日本経団連は「各自治体により電子手続の可否が異なるため、給与所得者(社員)の居住地が複数の自治体にわたる大企業では、電子的に一括処理ができず、結果的に紙媒体で処理せざるを得ない。全国共通の電子手続が可能になれば、各市区町村と特別徴収義務者の双方にとって、業務処理の大幅な効率化および誤徴収の防止につながる」としています。

現状ではフロッピーディスクによる申請も可能ですが、フロッピーディスク対応パソコンが皆無となるなかで、少なくとも電子メールでの送受信を認めるとともに、窓口を一元化した形の全国共通のワンストップの電子手続システムの構築が求められているわけです。

自動車税の納税証明書自動発行機を12ヵ所の府税事務所に設置―大阪府

2009年07月13日

大阪府がこの7月8日に府内12ヵ所の府税事務所に納税証明書(継続検査用)自動発行機を設置しました。

自動車税の納税証明書の自動発行機導入は、人件費削減へ向けた大阪府の苦肉の策で、苦しい財政事情の一端を垣間見ることができます。

納税証明書の自動発行機の取扱い方は、登録番号と車台番号の下4桁を入力することにより納税証明書が発行される仕組みになっていますが、未納の場合は、納付書作成画面に納付予定日を入力(入力日には制限がある)して、府税事務所管理課の窓口で納付書を受け取ることになっています。そして、その納付書で自動車税を納付すると、納付書と一連になっている納税証明書(継続審査用)が使用できることになっています。

また、自動発行機では、翌年の6月までに検査有効期限が到来するもののみ納税証明書が発行されるという期限付きのものです。

さらに、大阪府では、今回の自動発行機導入にあわせて、自動車税納税証明書(継続審査用)の様式を変更しました。これまでの証明書から「所有者の氏名又は名称」の項目を削除していて、納税証明書の交付請求時点では登録番号と車台番号の下4桁が確認できる人について請求の際の身分証明書の提示を省略することにしました。また、あくまでも自動車税の納付書については、窓口で交付することにしています。その際には、窓口で必ず登録番号と車台番号の下4桁がチェックされます。

国税庁がe-Taxに関するアンケート結果―「利用に踏み切れない理由は…」

2009年07月06日

国税庁が「平成20年度における国税電子申告・納税システム(e-Tax)のアンケート」の実施結果を公表しました。それによると、事前準備に手間や費用がかかることが利用に踏み切れない主な理由となっています。

今回のアンケート調査は、国税庁が今年2月から5月にかけて、e-Taxの利用者や今後利用することを検討している人を対象に実施したものです。8,678件(前年度は10,837件)の回答があり、その内訳は給与所得者が45.6%、年金受給者が21.9%、個人事業主16.6%で計84%が個人でした。そのため、「e-Taxで利用した手続きは何か」とする質問では、所得税の申告(5,146件)がトップでした。

e-Tax利用者に対して「利用しようと思った理由」を尋ねたところ、「税務署または金融機関に行く必要が無い」(4,054件)がトップで、次いで「閉庁時間でも申告等の提出ができる」(3,447件)、3番目が「電子証明書等特別控除(電子申告控除)を受けるため」(2,956件)となっています。一方、e-Taxを利用していない人に対して「利用していない理由」を聞いたところ、「電子証明書等の取得に手間や費用がかかる」が5,240件で、ダントツでトップでした。

改善要望についても数多くの人から「電子証明書の取得に手間がかかる」ことが取り上げられたことから、国税庁は、「電子政府全体として現行の電子署名方式とは別の新たな仕組みについて検討しており、新たな仕組みが確立された場合は、当庁としても納税者の利便性向上を図るため導入に向け検討を行う」と回答しています。

国税庁が「非上場株式の相続税80%納税猶予制度」で細かな取扱い示す

2009年07月06日

このほど国税庁が、平成21年度税制改正で創設された「非上場株式の相続税80%納税猶予の制度」に関する取扱いを「租税特別措置法通達」の一部を改正する形で公開しました。

非上場株式の相続税80%納税猶予制度は、政府が中小企業の事業承継支援策のひとつとして平成21年度税制改正で創設したものです。相続税は現金一括納付が原則となっているため、中小企業のオーナー社長の遺産の大半が自社株の場合、それを処分して相続税を納めるしかなく、事業承継が不可能になるケースが相次いでいました。こうした相続税負担を緩和するために同納税猶予制度が導入されたわけです。

国税庁では今回、租税特別措置法通達を改正して、同納税猶予制度に関する取扱いを新たに盛り込んだわけですが、例えば、税制改正により租税特別措置法に「非上場株式の贈与税を全額納税猶予する制度」が新設されています。そして、同制度の条文には「贈与税の申告書の提出期限までに当該納税猶予分の贈与税額に相当する担保を提供した場合に限り、当該贈与者(社長)の死亡の日まで、その納税を猶予する」とされています。

これについて、今回の改正通達では「特例受贈非上場株式等の贈与に係る贈与税についての期限後申告、修正申告又は更正に係る税額について適用がないことに留意する。 ただし、修正申告又は更正があった場合で、当該修正申告又は更正が期限内申告において同項の規定の適用を受けた特例受贈非上場株式等の評価又は税額計算の誤りのみに基づいてされるときにおける当該修正申告又は更正により納付すべき贈与税額(附帯税を除く)については、当初から同項の規定の適用があることとして取り扱う…」などとしています。

全国の税務署が来署者のためにワンストップサービス開始

2009年06月29日

全国の税務署が、7月10日から来署した納税者の応対をひとつの窓口で受け付けるワンストップサービスをスタートさせます。

税務署の来署者へのワンストップサービスの開始は、国税庁が明らかにしたものです。これまで、納税者が税務署へ行くと、用件の内容に応じて総務課、管理・徴収部門、個人課税部門、資産課税部門、法人課税部門などそれぞれの窓口に行って用件を済まさなければなりませんでした。一方、対応する税務署側も納税者から来署した理由を聞いて、適切な窓口へ案内するのに手間取ることも少なくありませんでした。

そこで、国税庁ではワンストップサービスによりそうした問題を解消することにしたわけです。具体的には、「各種の申告書及び申請書等の提出」「各種用紙の交付請求」「納税証明書の請求及び受領」「国税の納付」「国税に係る制度や手続に関する一般的なご相談手続」などについて、一つの窓口で済ませることができるようになります。

ちなみに、ワンストップサービスを行う受付窓口の担当は、これまでの「管理・徴収部門」の職員となります。よって、「管理・徴収部門」は「管理運営部門」又は「管理運営・徴収部門」、「徴収部門」といった名称となります。また、管理運営部門や徴収部門が無い税務署では、総務課が担当することになっています。

国税庁が「21年度実績評価に関する実施計画」で年金強制徴収実施を表明

2009年06月29日

このほど、国税庁が「平成21事務年度、国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価に関する実施計画」を発表しました。そこには、税務署による公的年金の強制徴収実施が盛り込まれています。

国税庁が今回発表した同実施計画には、達成すべき目標として「内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収」、「酒類業の健全な発達の促進」、「税理士業務の適正な運営の確保」という3つの実績目標が打ち立てられていて、その下に「租税の役割、納税意識の重要性や税務行政について、広く国民各層から理解・協力を求めます。また、国民の意見・要望等を聴取し事務の改善に努めます」といった業績目標が11設定されています。

そのなかで、もっとも注目されるのが「厚生労働大臣から委任される滞納保険料等の徴収」です。平成22年1月から、厚生年金や国民年金などの年金保険料のうち、悪質な滞納者に対する強制徴収の権限が厚生労働大臣から委任されることから、これから滞納保険料を的確に徴収する体制、手続の整備に努めるとしています。

公的年金の強制徴収の権限については、国民年金法第96条に、社会保険庁長官は、(保険料の)督促を受けた者がその指定期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないときには、国税滞納処分の例によってこれを処分し、または滞納者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができる―と規定されています。国税滞納処分の例とは、預金・貯金・生命保険料・ローン返済金・車といった財産の差押えのことです。  社会保険労務士などによると「現状では、直近24ヶ月の間に未納月数13カ月以上、前年所得200万円以上の方は要注意」としています。

福祉車両装った自動車税の脱税で判決。改めて注目される自治体の対応

2009年06月22日

このほど名古屋地裁で、福祉車両を装うことで自動車税を免れることをウリにしていた自動車販売会社に対する判決が下され、改めて障害者優遇制度の悪用への自治体の対応策がクローズアップされています。

福祉車両を装い顧客に自動車税などを不正に減免させたとして、地方税法違反の罪に問われた愛知県長久手町の自動車販売会社「ベストライン」社長A被告の判決公判が6月17日、名古屋地裁であり、裁判長は懲役2年、執行猶予4年、罰金500万円(求刑懲役2年、罰金500万円)を言い渡しました。

A被告らは約6年前から、身体障害者が利用する予定がない顧客に福祉車両を装った車計約1,000台を販売し、脱税を主導していたとされています。

A被告らの犯罪が明るみになったのは、豊田市の男性会社員ら4人に販売予定のワンボックスカーを福祉車両に改造。2007年11月から2008年3月にかけ、県税事務所に税免除を申請、その後装備を一般車両に戻し、4人分の自動車取得税や自動車税計約52万円を脱税させた容疑で逮捕されたのがきっかけでした。

こうした福祉車両を装って自動車税や自動車取得税を逃れる事件は、ここ数年全国的に発生していることから、例えば、東京都では福祉車両に関する自動車税・自動車取得税の減免措置の適用に当たり、平成21 年度からは、構造要件に加え、居宅サービス計画書及びサービス利用票(ケアプラン)などの一定の書類の提出を求める利用要件などを追加しています。

住宅資金贈与の非課税枠500万円は受贈者に与えられたもの

2009年06月22日

政府の「経済危機対策」に盛り込まれた住宅取得資金に関する贈与税の500万円の非課税措置がクローズアップされていますが、非課税枠について納税者の間で少々誤解が生じているようです。

経済危機対策に盛り込まれている住宅取得資金に関する贈与税の優遇措置とは、平成21年1月1日に遡って、2年後の平成22年12月31日までの間に、20歳以上の子供が父母や祖父母などから住宅取得に充てるための金銭の贈与を受けた場合に2年間通算で500万円まで贈与税が非課税になるというものです。もちろん、それに基礎控除額の110万円もプラスされます。

ただ、ここへきて一部の納税者が「500万円の非課税枠は、父母両方からだと1,000万円に膨らむ」といった見方をしています。というのも、贈与税の課税制度の特例である相続時精算課税制度において、特別控除枠が財産の贈与者ごとに2,500万円と設定されているからです。

相続時精算課税制度とは、65歳以上の親が20歳以上の子どもに対して相続発生時までに財産を贈与するとき2,500万円の特別控除を適用して贈与税の計算ができるというもので、父と母の両方からの財産の贈与があった場合、総額5,000万円まで贈与税が課税されません。

そのため、今回の500万円の非課税措置についても、父親や母親から500万円ずつ住宅取得資金の贈与税を受けると、1,000万円まで非課税枠が広がると思っている人がいるわけです。これについて国土交通省では「贈与を受ける方の直系尊属から受けたものが対象となる。父母双方及び祖父母からの贈与についても対象とすることができるが、合計で500万円が上限となっている」としています。

環境対応車への買い換え・購入補助制度で経産省が19日から補助金申請受付

2009年06月15日

5月29日に平成21年度補正予算が成立したことを受け、経済産業省が6月19日から環境対応車への買い換え・購入に対する補助制度の補助金申請受付を開始します。

経済危機対策として平成21年度補正予算に盛り込まれた同補助制度は、環境性能の良い新車への買い換え・購入を促進することにより、環境対策と景気対策を効果的に実現しようというものです。

この補助制度には、「経年車の廃車を伴う新車購入補助」と「経年車を廃車することのない新車購入補助」とがあります。

「経年車の廃車を伴う新車購入補助」とは、最初の登録等から13年に達した古い車を廃車して、一定の環境性能を有する新車(平成22年度燃費基準達成車)を購入する人に対する補助で、普通車については25万円が、軽自動車については12.5万円が補助されます。トラックやバスなどの重量車も車齢13年超車から新長期規制適合車へ買い換えた場合、小型(GVW3.5tクラス)で40万円、中型(GVW8tクラス)で80万円、大型(GVW12tクラス)で180万円が補助されます。

一方、「経年車を廃車することのない新車購入補助」については、乗用車の場合、排気ガス性能4☆かつ平成22年度燃費基準+15%以上の普通車が10万円、軽自動車で5万円が補助されます。トラックやバスなどの重量車も平成27年度燃費基準達成車かつNOxまたはPM+10%低減という要件を満たせば、小型(GVW3.5tクラス)で 20万円、中型(GVW8tクラス)で40万円、大型(GVW12tクラス)で90万円が、いずれも今年4月10日にさかのぼって適用されます。

企業への法人市民税還付が相次ぎ市町村の財政逼迫

2009年06月15日

業績が大幅に悪化した企業から中間申告のときに過大徴収した法人市民税を返還する還付金が、各市町村の財政を圧迫しています。

静岡県静岡市は、前年度実績を基に予定(事前)納付された法人市民税の還付が、景気後退による企業の業績悪化を受け相次ぐと予想。市税還付金(払戻金)として9億円を平成21年度6月補正予算案に計上しました。

また、愛知県安城市では、昨年度予算で51億7,000万円の法人市民税を計上しましたが、昨秋からの自動車産業を中心とした急激な業績悪化で赤字企業が急増。今年度当初予算に10億円の還付金を盛り込んだものの、4億円上回ることになったと発表しました。

さらに、自動車メーカー“ホンダ”の工場がある埼玉県狭山市でも、業績悪化を見込み当初予算で前年度比約20倍の還付金関連予算計約13億円を計上しています。

法人市民税は、市内に事務所や事業所を有する法人にかかる税金です。資本金及び従業者数に応じて納める「均等割」と、法人の所得に応じた法人税額(国税)をもとに課される「法人税割」とがあり、中間(予定)申告を行った税額がある場合には、その税額を均等割額と法人税割額の合計額から差し引いて確定申告することになっています。したがって、確定申告のときに中間申告で納めすぎた法人市民税が戻ってくることがあるわけです。

9月1日からe-Taxで国税のダイレクト納付ができるようになる

2009年06月08日

国税の納付がインターネットを通じて直接納税できる、いわゆるダイレクト納付が今年9月1日から可能となります。

現在、納税者が国税を納付する方法としては、税務署や金融機関で現金納付するやり方とインターネットバンキング、モバイルバンキング、銀行などのATMを利用した電子納税があります。これらに加え、今年9月から新たに電子納税であるダイレクト納付が可能になります。

ダイレクト納付とは、事前に税務署に届出をしておけば、e-Tax(国税の電子申告システム)を利用して電子申告をした後に、預貯金口座からワンクリックで即時または期日を指定して納付することができるというものです。

ダイレクト納付のメリットは、なんといっても税務署や金融機関に出向くことなく、自宅やオフィスなどから納付ができること。そのため、毎月納付する源泉所得税など利用回数の多い国税の手続きに便利だといえます。利用する場合は、インターネットバンキングの契約をする必要もなく、事前にダイレクト納付利用届出書を所轄の税務署に提出するだけで大丈夫です。あとはe-Taxで電子申告した後、ワンクリックで納付手続を終えることができます。

注意しなければならないのは、ダイレクト納付利用届出書を提出してから実際に利用可能となるまで1ヶ月程度かかるということと、納付可能な税目が電子申告ができる税目(源泉所得税、法人税、消費税及び地方消費税、申告所得税、酒税、印紙税)だということです。また、ダイレクト納付の利用は、e-Taxの利用可能時間内であることと、ダイレクト納付が利用できる各金融機関のオンラインサービスの提供時間内であることに気をつける必要があります。

東京都が納税者に「土地の固定資産評価額アップにご理解を」

2009年06月08日

平成21年度の固定資産税と都市計画税の納税が始まりましたが、東京都では納税者に対して固定資産評価額がアップしていることに注意を呼びかけています。

東京都では6月1日に23 区内の固定資産税と都市計画税の納税者に対して平成21年度の納税通知書を発送しましたが、平成21 年度は3年に1度の評価替え(基準年度)の年にあたることから、土地・家屋の全件について、新しい価格(固定資産評価額)に変わっていることを告知しています。

固定資産税の課税対象となっている土地の価格は、3年に1度評価替えが行われていて、基準年度の前年度1月1日時点を価格調査基準日として地価公示価格の7割をメドに価格が改定されています。この評価替えが平成21年度に実施されたわけです。

東京都によると「地価公示価格は毎年発表されているのでご理解いただけると思いますが、東京都23区では平成18年から平成20年にかけて地価が大幅に上昇しました。そのため、今回の評価替えにおいて固定資産評価額も、平成20年1月1日以降の半年間の下落分を価格に反映していますが、大部分がこれまでの評価額よりもアップしていますので、ご注意ください」としています。

つまり、地価公示価格は毎年発表されているため地価が上昇していることがはっきりとわかりますが、土地の固定資産税については、前回評価替えが行われた平成17年1月1日から3年間据え置かれているため、地価の上昇が今回初めて反映されたわけです。東京都では、土地の固定資産評価額が値上りした事情について、多くの納税者に理解を求めています。

多くの自治体でサラ金の「過払い金」差押え相次ぐ。福生市の提訴で判明

2009年06月01日

全国の自治体が、住民税の滞納整理を通じて消費者金融への返済に苦しんでいる市民を救済している実態が、5月27日に東京都福生市の加藤育男市長の定例記者会見で明るみになりました。

福生市は、このほど消費者金融3社に対して、市税の滞納者から差し押さえた「過払い金」の市への支払を求めて提訴しました。

今回の裁判に至った経緯は、市税を滞納していた市民4人に対して同市が財産調査を行った結果、ほかに換価できる財産がなく、貸金業者からの借入の返済を優先していたことを把握したのがきっかけでした。借入れの状況を調べたところ、かなりの過払い金があることわかったことから、調査員は滞納者本人の了解を得て、貸金業者を第三債務者として「過払い金」を差押えました。同市は、すぐに貸金業者に対し、支払い期限を4月27日とした支払催告書を送付しましたが、支払いが履行されなかったため提訴したそうです。

同市の収納課によると「現在多くの地方公共団体が過払い金差押に着手していて、その中で訴えを起こした団体は、当市が把握しているところでは、兵庫県芦屋市ほか10団体(茨城県租税債権管理回収機構、東京国税局、三重県地方税管理回収機構、山口県下関市、羽村市、東村山市、兵庫県相生市及び赤穂市並びに豊岡市)ある。なお、兵庫県芦屋市と羽村市においては勝訴の判決もでている」としています。そして、同市が今回の裁判に勝訴した場合は「市税に充当できる額は3件合わせると約270万円になる。過払い金が滞納額を上回った場合には、還付金として滞納者に返還する」としています。

大好評の百貨店の「下取りセール」にも関係する税務処理

2009年06月01日

景気低迷の中、個人消費の拡大を促進するため「下取りセール」を行う百貨店や家電量販店が増えています。下取りセールといいながら、なぜか顧客が持ってきた不要品を割引券やポイントに交換しています。

顧客が下取りしてもらおうと持ってくる物は、百貨店の場合、衣類がダントツで多く、家電量販店の場合はパソコンやデジタルカメラといわれています。

そもそも下取りというのは、顧客が購入を決めた商品と同じ種類の物を買い取ることを意味しますが、実際にセールを行っている百貨店などは、顧客が購入する商品に関係なく、顧客が持ってくる不要品を割引券やポイントと交換していて、単なる不要品の引取りに過ぎません。

このように百貨店などが不要品を割引券やポイントに交換するのには理由があります。顧客に対して新たに購入する商品を自由に選べるようにしたという意味合いもあるのですが、じつは、消費税の処理に気を遣っているのです。

百貨店などが行う消費税の処理は、商品の売上げ時に課税した消費税から仕入れ時に課税された消費税を差引く仕入税額控除を行うことになっています。商品の下取りも顧客が購入する商品を決めていない場合は、単純に商品の仕入れと同じことになり、その相手が消費税の課税事業者ではない個人の場合、仕入価格(下取り価格)は税込みで区分して仕入控除を行うことになります。そのため、百貨店などは、その顧客が購入する商品の値引きとして処理できる割引券やポイントに交換しているわけです。

小売業などが売上げを伸ばすイベントを組むときには、必ずといって良いほど税務処理に注意が払われています。

21年度改正対応の法人税申告書別表は6月15日からe-Taxで利用可能に

2009年05月25日

平成21年度の税制改正に対応した法人税の申告書別表などが、6月15日(月)から国税の電子申告システム(e-Tax)で利用できるようになることを国税庁が発表しました。

e-Taxは、会社のパソコンを使ってインターネットを通じて国税の申告ができるシステムです。とくに法人税については、確定申告書に添付する別表などが数多くあるため、専用ソフトを使うことで手作業よりもスムーズに作成できることから、利用する企業が増えています。

このほど国税庁が発表した6月15日から利用を可能とする法人税の申告書別表などは、今年4月1日以後開始する法人の事業年度に対応したもので、平成21年度の税制改正項目を盛り込んだものです。また、国税庁ではe-Taxソフトについても、同日からバージョンアップにより「対象帳票一覧」に掲載したすべての様式の利用を可能とすることを予定しています。

なお、平成21年度税制改正では、平成21年2月1日以後に終了する事業年度において発生した欠損金額に応じて、前年度に納めた法人税を還付する欠損金の繰戻し還付制度が中小企業のみ適用できることになりました。さらに、政府による追加の経済対策で、資本金1億円以下の法人が支出する交際費の定額控除限度額が400万円から600万円に引き上げられ、試験研究費の総額に係る税額控除制度などについても、平成21、22年度における税額控除の限度額が法人税額の20%から30%に引き上げられています。これらは、申告書別表等で計算することになる予定です。

裁判員制度スタート。日当は雑所得として申告しなければならない

2009年05月25日

5月21日、国民に司法参加を義務付けた裁判員制度がスタートしました。選任された人には日当や交通費が支払われますが、当然、それらは所得として税務署に申告しなければなりません。

国から選任された裁判員は、会社を休んで裁判所に出向くことになるため、職務への対価として日当と旅費が国から支払われます。具体的な額は、選任手続や審理・評議などの時間に応じて、裁判員候補者・選任予定裁判員については1日当たり8000円以内、裁判員・補充裁判員については1日当たり1万円以内と決められています。たとえば、裁判員候補者の場合は、選任手続が午前中だけで終わり、裁判員に選任されなかった場合は、最高額の半額程度が支払われる予定です。

問題は、その日当などにかかる税金の取扱いです。じつは、その取扱いについては、昨年11月に国税庁が最高裁判所からの問い合わせに対して回答しています。それによると裁判員、補充裁判員並びに裁判員等選任手続の期日に出頭した裁判員候補者と選任予定裁判員に対して支給された日当や旅費については「その合計額を雑所得に係る総収入金額に算入する」とされ、「実際に負担した旅費及び宿泊料、その他裁判員等が出頭するのに直接要した費用の額の合計額については、旅費等に係る雑所得の金額の計算上必要経費に算入する」とされています。

国のエコポイント事業で税務問題。「領収書提出したら消費税処理できない」

2009年05月18日

このほど、国会で成立した追加の経済対策に盛り込まれた「エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業」(エコポイント事業)で税務上の問題が急浮上しています。

エコポイント事業は、地球温暖化防止や経済の活性化、地上デジタル放送対応のテレビの普及を目的としていて、省エネ性能の高いエアコン、冷蔵庫、テレビを購入した人に対して、一定のエコポイントを国が付与し、そのポイントを使ってエコ商品などと交換ができるという仕組みになっています。

エコ商品購入時に付与されるエコポイントについては、エアコン、冷蔵庫が価格の5%分程度 、地デジ対応テレビは価格の10%分程度 、対象家電商品の購入に合わせ、同種の古い家電をリサイクルした場合は、それらに加えてリサイクル料金相当分程度のポイントが付与されます。

いま取り沙汰されている税務上の問題とは、まず付与されるエコポイントは、それを受け取った人の所得となり、個人ならば雑所得として課税され、法人ならば法人税の課税対象となるのではないかということです。というのも、航空会社が取扱っているマイレージなどは一時所得で、一般小売店などが行っているキャッシュバックなどは雑所得として課税されているからです。

また、このエコポイントは法人も利用可能なのですが、付与されたポイントの交換にあたって、購入したエコ商品の領収書を国に提出しなければならず、消費税の課税事業者ならば、仕入税額控除の適用要件となっている請求書等の保存義務を果たせなくなってしまうことになります。

国税庁では、こうした問題について「法的な整備が必要なのではないか」として取扱いに苦慮しているところです。

国税庁「振込め詐欺ではありません」。納税コールセンターの電話

2009年05月18日

滞納している税金を納めてもらうために、国税局のコールセンターが滞納者にかけている電話が振込め詐欺と勘違いされる可能性があるため、国税庁がそういった勘違いをしないようPRに躍起になっています。

全国の国税局に設置されている集中電話催告センター室(納税コールセンター)が、この5月から2カ月間、平日だけでなく休日も電話催告を実施しています。5月と6月以外は、納税コールセンターや税務署は、土・日曜日、祝日は閉庁しているので、国税庁が懸念しているのは、納税者が振込め詐欺などの悪質な電話と勘違いしてしまうことです。

電話催告とは、国税を期限までに納付していない人に対して、所轄の税務署に代わって、納税コールセンターに配属されている国税局の職員がコンピュータシステムを利用して、集中的に電話で納税を促すというもの。したがって、平日ならばいざ知らず、休日にそのような電話がかかってくると、当然、振込め詐欺などの電話と勘違いする可能性があるわけです。そこで、国税庁では、(1)税務職員が納税者に電話で問い合わせをする場合は、提出した申告書等を基にその内容について本人に確認することを原則としていること、(2)税務署や国税局では、還付金受取のために金融機関等の現金自動預け払い機(ATM)の操作を求めることはない、(3)国税の納税のために金融機関の口座を指定して振込みを求めることもない―、といった点を納税者に呼びかけています。

個人向け国債の販売キャンペーン景品は「雑所得」―東京国税局

2009年05月11日

金融商品取引業者からの個人向け国債の購入者へ交付するキャンペーン景品の所得税法上の取扱い関する照会に対して、東京国税局が「その景品は一時所得ではなく雑所得にあたる」という回答を出していたことがわかりました。

財務省が売り出している個人向け国債は、1万円から購入ができることから、その販売代理を行なう銀行などの金融商品取引業者の間では、売れ筋商品のひとつとなっています。

そのため代理店間の販売競争も激しく、あの手この手で売り込み合戦が展開されています。このほど東京国税局に文書で問い合わせてきた業者もその代理店のひとつで、個人向け国債を販売するにあたり「新規資金にて100万円以上購入した顧客に対して2,000円以上のキャッシュバックまたはギフトカードを景品として提供する」というキャンペーンを実施。その景品を受け取った顧客は、一時所得で所得税を申告しても大丈夫かを尋ねてきたものです。

福引の懸賞金や競輪・競馬の払戻金は、一時所得とされていることから誰もが一時所得で大丈夫だと思っていましたが、東京国税局の回答は「当該景品の交付金額は、個人向け国債を募集期間内に100万円以上購入し、その購入の多寡に応じて決定されることになるため、当該景品の交付は、当該国債の購入という行為に密接に関連してなされているものと認められる。そうすると、当該景品は、対価性を有していることから、一時所得に該当しない。利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しないことから、雑所得として取り扱う」としています。

生産緑地の宅地並み課税を緩和する公明党試案が話題に

2009年05月11日

麻生内閣を支える与党の一角、公明党がこのほど公表した「都市農業・新ビジョン試案」がクローズアップされています。生産緑地法で塩漬けされた都市農地を宅地並み課税なしで他者に貸し出すことを認めているからです。

都市農地が誕生したのは、1991年です。政府が生産緑地法を改正し、市街化区域内農地を「宅地化する農地」と「保全する農地(生産緑地)」に区分けしたことが発端でした。三大都市圏の特定市の「宅地化する農地」(特定市街化区域農地)については、固定資産税・都市計画税の宅地並み課税を行い、相続税の納税猶予・免除制度を廃止する一方で、生産緑地となった農地については、30年間の営農を義務付けました。

都市農地をつくった目的は、安全・安心な食料を供給することや緑と潤いのある住環境の形成、災害時の避難場所などに利用することにありましたが、あまりにも厳格だったため、1985年に約18.7万haあった全国の市街化区域内農地が、2007年には約9.3万haとほぼ半減しました。公共性の高い都市農地ですが個人の資産である以上、相続が発生するたびに縮小・分散しているわけです。

そこで、公明党では都市農地について抜本的な対策を講じなければ、一気に農地が減少する危機感を覚え、都市農業振興プロジェクトチームを立ち上げて議論を展開。新たなビジョンへ向けた座長試案をこのほどまとめました。同試案の中で注目されているのは生産緑地制度の改革で、現在、一団の農地で「500平方メートル以上」とされている生産緑地の指定要件を「300平方メートル以上」に緩和することと、生産緑地を個人以外の経営主体に貸し出した場合には、相続税納税猶予制度を適用できるようにするとした点です。

減価償却資産への不当課税で納税者勝訴相次ぐ。固定資産税の再チェックを

2009年05月02日

減価償却資産に課税される固定資産税について減価率の再チェックを行う事業者が増えています。中部・近畿圏で、課税された固定資産税をめぐり自治体を相手取って争っている業者が勝訴するケースが相次いでいるからです。

4月23日、名古屋市の倉庫会社2社が、同市の課税ミスで固定資産税などを過大に徴収されたとして、同市を相手に約2,800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、名古屋高等裁判所が地裁判決を変更し、「課税処分は違法」として自治体に計約2,700万円の支払を命じる判決を行ないました。裁判長は「名古屋市は、2社が所有する冷凍倉庫を一般の倉庫として評価し、過大な課税徴収をしていた」と指摘。その上で、「倉庫の用途を識別する職務上の注意義務を尽くしていない」と述べて同市の過失を認定しました。

また同日、神戸地方裁判所においても、神戸市の倉庫会社など15社が、倉庫の種類を取り違え固定資産税などを過大に徴収されたとして、神戸市と兵庫県尼崎市に損害賠償を求めた訴訟の判決で、両市に計約5億円の支払いを命じています。判決理由では、冷凍倉庫は経年劣化が早いため、一般の倉庫より固定資産税や都市計画税が安いにもかかわらず両市は誤って一般の倉庫として扱い余分に税金を徴収したとしています。

償却資産に対する固定資産税の評価額は、原則として「前年度の価格×(1-減価率)」で求めます。算式中にある減価率は、耐用年数表(財務省令)に準じて定められているため、自社についてもその減価率の適用誤りなどがなかったかを再確認する事業者が増えています。

新型インフルエンザで海外出張取り止め。キャンセル料の処理が問題に

2009年05月02日

新型インフルエンザ発生で北米への出張を取り止める会社が相次いでいますが、そういった会社が支払う旅行会社へのキャンセル料の税務処理がクローズアップされています。

4月28日、世界保健機関(WHO)が豚インフルエンザの警戒レベルを「フェーズ4」に引き上げたことを受けて、外務省が「感染症危険情報」を出し、メキシコへの不要不急の渡航を延期するよう国民に要請しました。さらに、4月30日にはアメリカでも新型インフルエンザの感染者の死亡が確認されたため、北米への出張を取り止める日本国内企業が増えています。

ただ、その出張を取り止める会社の間で問題となっているのが、旅行会社などに支払うキャンセル料です。出発日直前のキャンセルは、前金で支払っている費用の50%から100%がキャンセル料として差引かれるため、会社にとってはこれが経費として計上できなければ大きな痛手となります。

今回の事態を受けて国税当局では「旅行を取り止めたことで発生するキャンセル料は、雑損として損金に算入することができる」としています。ただし、キャンセル料といわれるものの中には、解約に伴う事務手数料としての性格のものと、解約に伴い生じる逸失利益に対する損害賠償金としての性格のものとがあります。原則として、事務手数料は消費税の課税対象ですが、損害賠償金については、消費税は非課税です。したがって、旅行会社などにキャンセル料を支払う場合、消費税は非課税となり、もし誤って消費税を支払ってしまった場合は、返金を求める必要があります。というのも、その誤って支払ってしまった消費税は仕入税額控除の計算上、課税仕入れとして売上げに係る消費税から差引くことができないからです。