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トピックス(2008年5月~8月)

税理士会による税務支援等納税者数が昨年よりも19万人減少

2008年08月25日

日本税理士会連合会(日税連、池田隼啓会長)がこのほど、平成19年度中に全国の税理士会が行った税務支援等納税者数を発表しました。それによると、税理士会による納税者支援数は減少傾向にあります。

日税連の調べによると、全国の税理士会が行った税務支援等納税者数は約141万人で、前年度比で約19万人減少していました。このうち、確定申告相談における指導納税者数は約90万人で、前年度比で約13万人減少しています。これについて税理士会関係者は「国税当局との電子申告の積極的な推進により、税理士会よりも税理士会員が積極的に多くの納税者にアプローチしていることが影響しているのではないか」と見ています。

一方、給与・年金所得者の還付申告に係る指導納税者数は約18万人で、こちらは前年度比で約8万人増加していました。また、確定申告期の指導納税者に占める給与・年金所得者の還付申告に係る指導納税者数の割合も、前年度より11.14ポイント増え20.3%でした。やはり、多くの納税者が税金の納め過ぎに強い関心を持っていることから、税理士会に相談する人が少なくないことがわかります。

ちなみに、国税庁が公表した平成19年分所得税の確定申告書を提出した人員は2,361万6,000人で、そのうち還付申告は1,269万2,000人でした。この数字から見てもわかるように、全国の税理士会による納税者支援の重要性は高まるばかりです。。

地方消費税への税源移譲など求めた提言を主要閣僚に提出―全国知事会

2008年08月25日

全国知事会の地方交付税問題小委員会委員長(井戸敏三兵庫県知事)が、8月19日、「地方交付税の復元・充実等に関する提言」を主要閣僚に提出しました。 

同小委員長は、このほど全国知事会の政府への要請活動として、「地方交付税の復元・充実等に関する提言」を町村内閣官房長官、増田総務大臣、与謝野内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)などに提出しました。 

「地方交付税の復元・充実等に関する提言」は、今年7月17日、18日に神奈川県で開催された全国知事会議において決定されたものです。同提言は、「地方交付税総額の復元・充実」、「 地方の財政需要の適切な積上げと格差是正」、「地方財政を犠牲にしたプライマリーバランス改善の見直し」、「地方財政対策の確定等における地方意見の確実な反映」を柱としていて、地方分権推進に必要な財源について各種要請を行っています。 

納税者である地域住民にとってもっとも関心が高いのは、財政の基盤となる税源の問題です。これについて同提言では「地方の財政自主権を担保するための税源配分の実現」として「国と地方の税源配分について、まずは5:5を目指した地方税源の充実強化が必要」、「税源配分5:5の実現は、基本的に国庫補助負担金の廃止・縮小とそれに伴う偏在性の少ない地方消費税等への税源移譲によってなされるべき」、「消費税を含む税体系の抜本的改革を行なったとしても、地域間格差は依然として解消されないことから、法定率の引上げを含め、地方交付税が有する財源調整・財源保障機能の充実を図るべき」としています。 。

民間でできることは民間で―税務大学校校舎の管理運営を民間委託へ

2008年08月18日

税務大学校の施設の管理・運営について、民間委託する方向性が固まり、このほど、その民間委託の競争入札に関する実施要綱が発表されました。規模が大きいだけに請負う企業には大きな収益がもたらされます。 

民間でできることは民間に任せる―官僚の天下り団体による庁舎・公共施設の管理・運営は、サービスの向上や事業の効率化が望めないばかりか、税金のムダ遣いの温床となっています。そこで、政府では、「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」を平成18年に創設して、民間業務委託を積極的に推進することとしました。 

財務省・国税庁もその法律の趣旨に則って、このほど「税務大学校和光校舎における施設管理・運営業務に係る民間競争入札実施要項(案)」をまとめ、広く国民に意見を募集しています。 

税務大学校は、国家公務員として採用された税務職員に対して必要な研修を行う機関で、税務大学校和光校舎(埼玉県和光市)は、その本拠地です。敷地面積は10万5000㎡で、5階建「管理棟」、7階建「研修棟」、3階建「階段教室棟」、2階建「厚生棟」、2階建「体育館」、10階建「学寮棟」4棟、1階建「倉庫棟」から構成されています。 

民間に委託するのは、こうした施設の点検及び保守業務、清掃業務、施設警備業務、図書室管理業務の各業務の包括的な管理・運営です。業務の委託期間は、平成21年4月1日から平成24年3月31日までとなっていて、この業務の入札書類の提出期限は、平成21年1月中旬頃とされています。入札には、ひとつの事業者で参加することもできるし、複数の事業者で構成されるグループで参加することも可能です。開札は、平成21年2月下旬頃とされています。 

商工会議所会頭が新福田内閣に中小企業税制の充実を要請

2008年08月18日

日本商工会議所の岡村正会頭が、さきに新福田内閣が取り決めた総合経済対策について、速やかな実施と中小企業の実効性のある事業承継税制の導入を政府に求めました。 

新福田内閣がこのほどまとめた総合経済対策に対して、岡村会頭は「政府は、タイムリーに決定した基本方針に則って、速やかに総合経済対策を具体化し、財政・金融・税制等を通じて、国民の安心実現のための思い切った政策を実行してもらいたい」とのコメントを発表しました。そのコメントの中の「財政・金融・税制等を通じて、国民の安心実現のための思い切った政策を実行してもらいたい」というくだりについては、8月8日に同会議所が発表した「福田改造内閣に望む」と題する要望書に記述されています。 

具体的には「中小企業に対するさらなる支援強化」というタイトルで「とりわけ、小規模(事業者)対策の柱として商工会議所が約半世紀にわたり信頼と実績を積み重ねてきた経営改善普及事業に対する都道府県の予算措置が十分なものとなるよう強く求める。また、下請適正取引の推進、資金調達の円滑化、設備投資等を促進する税制や使い勝手のよい事業承継税制の実現、地球温暖化対策への取り組み支援など中小企業の事業基盤強化に対する一層の施策を強力に実施されたい。特に、事業承継税制については、事業継続や雇用の維持等地域経済活性化の観点から極めて重要な施策であるので、納税猶予税額が免除される要件の具体化などに当たっては、真に実効ある制度となるよう要望する」としているものです。

企業5社に1社が消費税率「10%」―帝国データバンク調べ

2008年08月11日

民間調査機関の帝国データバンクが、このほど、全国2万1,040社を対象に消費税や税制に対する意識調査を実施した結果を公表しました。それによると、5社に1社が消費税率10%を念頭においていることが分かります。 

帝国データバンクが、今年7月18日から同月31日にわたって「消費税や税制に対する企業の意識調査」を実施しました。有効回答数は1万651社でした。 

同意識調査の結果を見てみると、「消費税率が引き上げられることについて」の質問で、「賛成」と回答した企業は3,145社(29.5%)でした。逆に、「反対」とした企業は5,336社(50.1%)で、半数の企業が消費税率の引き上げに対して反対の意思表示をする一方で、3割程度の企業が賛意を示しています。 

消費税率の引き上げに「反対」した理由としては「歳出削減が進んでいない」が5,336社中4,277社(80.2%)で最も多く、次いで「さらに景気が悪くなる」3,563社(66.8%)、「政治不信」2,683社(50.3%)といった順番でした。帝国データバンクでは「景気が一層後退することに懸念を感じているほかに、歳出削減が進んでいないなかで政治や行政に対する不信感が反対理由の上位に挙がった」と分析しています。また、「消費税率が将来引き上げられるとき」の質問では、「税率10%にすべき」と2,266社(21.3%)が回答、5社に1社が次の税率改定では「10%」を念頭においていました。 

なお、税制改正への期待では、「道路特定財源の一般財源化への具体案」3,918社(36.8%)、「子育て世代への優遇策」3,833社(36.0%)、「たばこ税増税」3,599社(33.8%)、「消費税の見直し(食料など生活必需品への軽減税率の導入)」3,409社(32.0%)で3割を超えています。 

遺産から払った退職金は相続税の債務控除の対象なの?

2008年08月11日

事業主の不慮の事故で、事業基盤を失う個人商店などが続出していますが、いま個人事業主の間で、廃業後に遺産から支払う従業員への退職金が相続税の計算上、債務控除の対象になるかどうかが取り沙汰されています。 個人事業者が従業員に支払う退職金は経費として計上できます。しかしそれは、事業がうまくいっているときであって、事業主の不慮の事故で廃業に追い込まれた場合は、事業主の遺産から解雇した従業員に退職金を支払うことになります。問題は、その従業員に支払った退職金が相続税の計算上、債務控除できるかどうかです。 このところ、地震や豪雨などの災害で命を落とす事業主が多くいることから、自分にもしもの場合があったときのことを考える事業主たちから、そういった声が聞かれるわけです。 その疑問について国税庁では「被相続人の死亡によって事業を廃止して、被相続人が雇用していた従業員を解雇するときに、その従業員に支給した退職金は、被相続人の生前事業を営む期間中の労務の対価であり、被相続人の債務として確実なものであると認められるので、相続税の課税価格の計算においては、その金額を控除しても差し支えない」と回答しています。 

5,000円以下の飲食費の経費算入制度で交際費減少―中小企業実態調査

2008年08月04日

中小企業庁が「平成19年度の中小企業実態基本調査」の結果を公表しました。そこには、平成18年度税制改正で導入された交際費課税の軽減措置の効果が現れています。

中小企業実態基本調査は、中小企業庁が平成16年度から毎年実施しているものですが、今回の調査報告書は、平成18年度の中小企業の決算データを基に提出された回答を集計し、取りまとめたものです。調査のベースは、売上高を基に、目標精度(標準誤差率)を業種分類(産業大分類)ごとに概ね5%、業種分類・従業者規模区分ごとに概ね8%として標本数を算出し、55,896件から回答を得ています。

今回の調査で注目されるのは、平成18年度税制改正で導入された「5,000円以下の飲食費の経費化」です。この制度の効果がどの程度あったかが問われました。

今回の調査における中小企業の営業費用の構成は、売上原価が78.4%で、販売費及び一般管理費は21.6%を占めました。売上原価の内訳では、商品仕入原価が42.2%と最も高く、次いで材料費11.8%、外注費10.9%の順となっています。販管費の内訳は、人件費が10.5%と約5割を占め、次いで地代家賃が1.3%、減価償却費が0.9%、運賃荷造費が0.9%となっています。そして、その販管費のなかに交際費が含まれているわけですが、今回の調査結果では、経費全体に占める交際費は0.3%でした。平成18年度の調査では、経費全体の中で交際費は0.4%だったことから、0.1%減ったことになります。不安定な景気から交際費を抑えた企業が増えた感もありますが、金額にすると0.1%は約300億円で、1社あたり年間で約53万円減ったことになることから、5,000円以下の飲食費の経費化はある程度効果があったと見られています。

相続税の課税方式変更で日税連が財務省と意見交換

2008年08月04日

日本税理士会連合会(池田隼啓会長、日税連)の調査研究部(杉田宗久部長)が、7月31日に平成21年度税制改正に向けて検討されている相続税の課税方式の変更について、財務省主税局と2回目の意見交換を行いました。

今回の意見交換の内容については、公開されておらず、日税連の調査研究部が作成した資料が現時点で公開されているだけです。その資料は、相続税の課税方式を本来の遺産取得課税方式に改めることにした場合の現時点における主な法制的・実務的論点について、有識者からのヒアリング結果などを踏まえて整理されたものです。

同資料では、例えば「仮装分割・仮装未分割等への対応」と題して検証。現行制度では、相続税の総額について、合計課税価格に相当する金額を相続人が法定相続分に応じて取得したものとして算出し、各取得者の相続税額は、相続税の総額に各取得者の取得財産の課税価格が合計課税価格に占める割合を乗じて算出します。これについて、遺産取得者課税に変わると「現行課税方式の下では、相続税の総額は遺産がどのように分割されたかのかに関わらず一定であるが、課税方式を見直した場合には、相続税の総額は遺産分割のされ方に影響を受けることになることを踏まえ、仮装分割や仮装未分割等による租税回避行為が発生する」という問題が生じる可能性があることを指摘。

これについて、有識者の考え方は、「仮装分割等の租税回避行為に対しては、適切な調査により対応する必要があると考えられる。他方、納税者に過度の負担をかけることを避けるため、現行以上に効率的・効果的な調査を行う必要があることから、例えば、資料情報の一層の充実を図ることとしてはどうか」としています。 

会社へ源泉所得税の納付照会。東京国税局が事務集中処理センター拡大

2008年07月28日

東京国税局が、税務署に法人が徴収して納付する源泉所得税の事務の効率化を目指して、源泉所得税事務集中処理センターの拡大を図りました。 

源泉所得税事務集中処理センターとは、滞納を未然に防止するなど主に当局内部の事務量効率化を図るために設けられているものです。 

仕事の内容は、納付照会ハガキの発送が主な業務ですが、同処理センターでは、一定の税務署が発送していた納付照会ハガキを、同処理センターから発送しています。したがって、納付照会ハガキの返送先も、源泉所得税事務集中処理センターとなっています。 

一方、納付照会ハガキの未回答者に対しては、電話照会もすることがあります。源泉所得税事務集中処理センター自体は、平成19年7月に初めて設置されたもので、これまで、港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区内の12税務署(芝署、麻布署、品川署、荏原署、目黒署、大森署、雪谷署、蒲田署、世田谷署、北沢署、玉川署、渋谷署)に関する納付指導事務のうち納付照会ハガキの発送や納付照会ハガキの未回答者に対する電話照会を集中的に実施してきました。

それが、今年7月から中央区、新宿区、北区及び葛飾区内の6税務署においても集中処理を実施しています。その6税務署とは、日本橋署、京橋署、四谷署、新宿署、王子署、葛飾署の計6署です。

高まる土地重課復活の兆し。不動産協会が同制度の「廃止」を要望

2008年07月28日

土地の相続税の算定基準となる路線価が、全国平均で3年連続で上昇したことから、国税庁内で地上げや土地ころがしの防止措置が取り沙汰されていることから(社)不動産協会が危機感を覚えています。 

土地の相続税の算定基準となっている路線価が、標準宅地の評価基準額の平均額について、全国平均で3年連続で上昇しました。圏域別で見ても、三大都市圏は3年連続上昇となり、地方圏は2年連続横ばいとなっています。 

そこで、バブル経済のときに横行した地上げや土地ころがしを行う輩が再びに芽を吹き返しています。そこで、国税庁内などでは防止措置が取り沙汰されているわけですが、不動産業界関係者は、その動きに危機感を覚えています。 

というのも、昨年までは日本経済の回復と、都市・地域再生の進展による付加価値の向上が、実需に結びつき回復してきていたわけですが、サブプライムローン問題に端を発した米国の景気後退懸念や、エネルギー・食料等の世界的価格高騰により、日本経済を取り巻く環境は厳しさを増しています。景気の下振れリスクが高まっているところなのです。特に、住宅市場においては、昨年後半ごろから調整局面を迎え、分譲マンション市場も、昨年末から完成在庫の増加が加速しています。 

地上げや土地ころがしの防止措置で、一番の劇薬と呼ばれたのが法人の土地譲渡益に対する重課制度です。同制度は、長期譲渡益重課制度(現行:法人税+5%追加課税)と短期譲渡益重課制度(現行:法人税+10%追加課税)のことで、両制度とも平成20年12月31日まで課税停止とされていることから、もしやすると来年度税制改正で復活する可能性があるわけです。 

そこで、社団法人不動産協会(岩沙弘道理事長、三井不動産㈱社長)は、平成21年度税制改正要望で、両制度の完全廃止を求めています。 

80%が税理士におんぶに抱っこ状態―中小企業の会計実態調査

2008年07月22日

中小企業庁が「平成19年度中小企業の会計に関する実態調査」の結果を発表しました。それによると、約80%の中小企業が経理財務の事務を税理士に委託しています。 

「中小企業の会計に関する実態調査」は、中小企業における会計処理の実態及び情報開示や管理会計への意識を把握することを目的とし、毎年度、中小企業庁が実施しているものです。また、この調査は、中小企業の会計ルールの認知度を、平成19年度末までの3年間で5割に引き上げる確認調査でもあります。そこで、調査結果を見てみると、4569件の中小企業が回答を寄せていて、会計ルールの認知度は44%(平成17年度末26%、平成18年度末35%)でした。ただし、従業員数が10名超の企業においては53%と、目標値を上回る結果となっています。 

具体的な、調査項目の結果では、まず経理財務担当の人員(事業主以外)について見てみると、「1人」が58.1%と最も多く、次いで「2人~5人」が30.3%でした。次に、経理財務に関する事務を依頼している会計専門家を見ると、「税理士」が79.8%と最も多く、次いで「公認会計士」が17.2%となっています。会計専門家への支払い報酬を見ると、「50万円以上~100万円未満」が45.0%と最も多く、次いで「50万円未満」が32.5%、「100万円以上~200万円未満」が14.4%となっており、100万円未満で全体の75%超を占めていました。 

申告期限迫る。所得変動に伴う住民税の還付申告

2008年07月22日

総務省が、所得変動に伴う住民税の還付申告の期限が迫っていることを納税者に強く呼びかけています。その申告期限は7月31日です。 

昨年実施された国から地方への税源移譲によって、所得税率の変更による税負担の軽減の影響は受けず、住民税率の変更による税負担の増加の影響だけを受ける人については、市区町村に申告することで、すでに納付済の平成19年度分の住民税額から、税源移譲により増額となった住民税相当額が還付されることになっています。 

具体的には、平成18年分は所得税が課税される程度の所得があった人が、平成19年分は所得税が課税されない程度まで所得が減少した納税義務者が対象になります。ただし、平成19年中に亡くなった人や、海外へ転出されて平成20年1月1日現在で国内に居住していない人は対象外です。 

  また、寄附金控除額など人的控除(配偶者控除、扶養控除、基礎控除など)以外の控除額が増加したり、住宅ローン控除などによって所得税が課税されなくなった人も対象ではありません。 

そして、この所得変動に伴う住民税の還付を受けるためには、申告が必要です。注意しなければならないのは、平成19年度分の住民税を課税した平成19年1月1日時点で住んでいた市区町村へ申告書を提出しなければならないということ。したがって、その後に他の市区町村へ転居した人は前住所地の市区町村に申告することになります。総務省では、その申告期限の7月31日が迫っていることから、早めの申告を呼びかけています。 

自治体の地方税増税の動きに「マッタ!!」―日本総合研究所

2008年07月14日

一部の自治体で地方税の課税強化の動きがあることから、シンクタンクとして知られる総合情報サービス企業の日本総合研究所(本社:東京都千代田区)が、その増税への懸念をニュースリリースとして発表しました。 

日本総合研究所が、このほど「本社だけでなく支社の影響も大きい地域経済・地方財政~雇用や生産への貢献を活かし、増税手段への利用は慎重に」と題するニュースリリースを発表し、自治体の地方税強化にマッタをかけました。 

同ニュースリリースによると「企業の本社、支社が数多く立地している地域や、新たに企業の進出を促すことに力を入れている地域にとって、企業は生産や雇用の増加をもたらすだけでなく、税収の増加によって地方財政の改善にも貢献を期待される存在である。企業の本社、支社が多く存在する地域は、企業関連の地方税が大きくなるだけでなく、従業者の個人住民税や、従業者の住居に対する固定資産税なども押し上げられる」として、地方税は緩やかな形でもメリットがあることを解説しています。 

そして、「企業の本社、支社が数多く存在していることに着目して税の増収をはかろうとしている場合もある」と現状を分析。「地方自治体の課税自主権尊重については、地方分権を推進するため、地方の歳出規模と地方税収との乖離の縮小、住民の受益と負担の対応関係の明確化などの観点から地方税源を充実させる必要があるという考えから進められてきたが、実際には住民の受益と負担の対応関係の明確化というより、住民(個人)に負担感を生じさせることを避けて、選挙権を持たない企業に課税される傾向がある。企業の拠点を巡る地方自治体の政策は、雇用や生産における地域経済への寄与拡大とそれに伴う自然体での税収の増加をはかる方向で進められることが望ましく、企業に偏った増税策の採用は控えるべきだろう」と牽制しました。

自民党の道州制に対する中間報告に知事会が修正申し入れ

2008年07月14日

7月9日、全国知事会道州制特別委員会(石井正弘委員長)が自由民主党道州制推進本部に対して「道州制に関する第3次中間報告(案)」への申し入れを行いました。地方消費税の充実などを訴えています。 

自民党道州制推進本部が、先日「道州制に関する第3次中間報告(案)」について、執行部が一部修正を行ったうえで、成文とすることを了承しました。 

それに対して全国知事会道州制特別委員会が申し入れを行いました。 

まず、国・道州・基礎自治体の役割分担について「内政に関する事務は基本的に地方が一貫して担うという我々の立場から見ると、役割分担の骨子(案)では、国家戦略の名の下に、国に多くの役割が付与されているが、国と地方の二重行政解消の観点から、懸念されるところである」としています。 

続いて、税財政制度については「道州制における税財政制度については、『シビル・ミニマム交付金』と称する新たな国からの交付金の創設を提案しているが、国庫補助負担金類似の交付金の創設であるならば、地方の自由度・裁量性を高めることに繋がらず、地方分権推進の観点から極めて問題があると考える。また、素案段階で記述のあった消費課税の国一元化については今回盛り込まれていないが、地方税財源の充実強化と偏在是正には地方消費税の充実が最も適当であり、今後の検討に当たっても、限りなく偏在性が少なく、安定性を備えた地方税体系を構築することを基本方向とすべきである」などとして、消費税の国から地方へ移譲などをにおわせました。 

区割りについても意見を述べていて「4パターンの区割り案を示しているが、こうした枠組の議論は、国と地方双方のあり方の検討を踏まえて行われるべきものであり、一方的に区域を絞り込むなど、枠組を先行させた議論を行うべきではないと考える」と批判しています。

東京都が9月から事業所税の電子申告・申請をスタート

2008年07月07日

東京都が今年9月22日から都税の電子申告、電子申請・届出サービスについて、新たなサービスを追加することが話題となっています。 

現状においても、東京都は地方税ポータルシステム(eLTAX:エルタックス)を使って法人事業税や都民税、固定資産税(償却資産、23区)について電子申告が行えるようにしています。 

eLTAXとは、自宅や会社にあるパソコンからインターネットを通じて申告や納税ができるシステムです。複数の地方公共団体への申告がまとめて一度にできることから、多くの納税者が「利便性が高い」と評価しているものです。 

東京都が9月から新たに利用可能とするサービスとは、事業所税(23区)の納付申告や免税点以下の申告、事業所用家屋貸付等申告などの電子申告と、事業所等の新設・廃止の申請・届出のことです。また、法人事業税と都民税について、法人の設立・設置や異動届などが電子申請できるようにします。なお、法人事業税と都民税については、すでに「予定申告」「中間申告」「確定申告」「修正申告」「清算確定申告」などが電子申告できるようになっています。 

eLTAXは現在、全国の都道府県、15の政令指定都市、そして、神奈川県相模原市において利用できるようになっているものです。(社)地方税電子化協議会では「今後も利用可能な地方公共団体を全国の市町村・特別区に順次拡大していく」としています。 

財務省が官僚人事発令。名古屋、広島、福岡へ新国税局長送り込む

2008年07月07日

7月4日、財務省が財務官僚の新たな人事異動を発令しました。国税庁長官には財務総合政策研究所長の石井道遠氏が就任しました。 

今回の人事発令で、財務省の事務次官レースに勝ち残ったのは、財務省主計局長の杉本和行氏でした。そして、財務官僚のナンバー2といわれる国税庁長官に就任したのは石井道遠氏です。石井氏は国税庁査察課長や財務省主税局長などを歴任した税のプロパーと言われています。 

また、今回の人事発令で国税局長に任命された財務官僚がいます。具体的には、名古屋国税局長に菅野良三氏が、また、広島国税局長に富屋誠一郎氏、福岡国税局長に池田篤彦氏が就任することになりました。一方、財務省主税局においても新たに発令された財務官僚がいます。まず、主税局審議官に田中一穂氏が任命されました。主税局総務課長には佐川宣寿氏、主税局総務課主税企画官に富山一成氏、主税局調査課長に田島淳志氏、主税局税制一課主税企画官に鑓水洋氏、主税局第二課長に川上尚貴氏、同二課主税企画官に菅家秀人氏、主税局第三課長に藤城眞氏らが起用されています。 

財務省主税局では、今回の新たな布陣で道路特定財源問題など税制の抜本改革に取り組むことになったわけで、新たな財源の確保にどのように対処していくか、手腕が問われることになります。 

平成20年分の路線価の閲覧7月1日からスタート

2008年06月30日

7月1日に国税庁が、平成20年分の路線価を公表します。路線価は、土地の相続税評価額を算出するときの基礎となるもので、今回は価格が前年よりも上昇する地域が増えることが予測されています。 

平成20年分の路線価図等の閲覧が、今年は例年よりも1ヶ月早い7月1日からスタートします。今回から閲覧は、自宅や会社のパソコンを使って国税庁のホームページにアクセスするか、または、全国の税務署・国税局に設置されたパソコンを使って見るだけとなります。 

路線価は毎年、土地の相続税・贈与税の評価額を算定するときの基礎となるもので、地価公示価格や売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格などを参考にして、評価上の安全性を考慮したうえで設定されるものです。その設定要素に地価公示価格があることから、国土交通省が毎年発表する地価公示価格が大きく反映されます。今年3月に国土交通省が発表した平成20年地価公示を見てみると、昨年1月以降1年間の地価は全国平均で住宅地及び商業地ともに2年連続で上昇するとともに、地方圏においても下落地点が依然として大半を占めるものの4年連続で下落幅が縮小しています。したがって、今年の路線価の全国平均は昨年よりも確実にアップするに違いありません。 

なお、国税庁では現在、IT化・ペーパーレス化を進めていて、これまでは路線価図を冊子にまとめて国税局や主要な税務署に備え付けていましたが、今年からそれを廃止することにしています。 

税務調査の防波堤―税理士による書面添付制度の取り扱いが変わる

2008年06月30日

国税の申告書に顧問税理士が作成したことを証明する書面が添付されている場合は、税務署は顧問税理士を無視して税務調査を実施できないことになっていますが、その税理士が証明する添付書面の様式や扱いが変わります。 

日本税理士会連合会(池田隼啓会長)と国税庁(牧野治郎長官)が共同で設置している書面添付制度の普及・定着に関する協議会が、このほど、書面添付制度に関する具体的な改善策をとりまとめました。 

その改善策とは、税理士が納税者の確定申告書に添付する書面については、その様式に税務署の収受印欄を設けることや添付書面の様式の「3、計算し、整理した主な事項」又は「3 審査した主な事項」欄にできるだけ多くの内容が記載できるようにすること、としています。 

また、納税者の確定申告書に税理士が証明した添付書面がある場合は、「記載内容が良好な添付書面について、意見聴取後、調査省略を行った場合には、文書による調査省略通知を行う。ただし、記載内容が良好でない添付書面について、意見聴取後、調査省略を行った場合や記載内容が良好な添付書面であっても、意見聴取を行わない場合は、その調査省略通知の対象とならない」ことになります。調査省略通知を円滑に実施するため、税理士会内に調査省略通知に関する相談窓口を設置することも決められました。 

なお、この書面添付制度は税理士法に規定されていて、税理士又は税理士法人が作成した申告書に関し、計算し、整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面をその申告書に添付している場合、税務署の職員は、帳簿書類を調査するときには、その税理士に意見を述べる機会を与えなければならない、とされています。また、税務署長が調査による更正を行うときも、書面を添付した税理士に対して意見を述べる機会を与えなければならないことになっています。

岩手・宮城内陸地震で国税庁が被災者へ支援措置をPR

2008年06月23日

6月14日、午前8時43分に発生した岩手・宮城内陸地震では、現在200人を超える人たちが避難所生活を余儀なくされていますが、このほど、国税庁が、被災者へ向け国税の支援措置を発表しました。 

国税は申告納税制度をとっているため、納税者からの主体的な申告が重んじられています。そのため、災害などで財産を喪失した人については、自ら申告を行うことが困難な場合が少なくありません。今回の岩手・宮城内陸地震についても、国税庁では被災者らの税務申告・届出などが難しいと想定される人が多数出ていると判断した模様です。そこで、国税庁では、いち早く被災者らに国税に支援措置があることをPRし始めました。 

例えば、地震により申告・納付などが法定期限までにできないときは、所轄の税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2ヶ月以内の範囲でその期限が延長されます。また、地震などの災害により、財産に相当な損失を受けた場合や、国税を一時に納付することができない場合には、所轄の税務署長に申請し、その承認を受ければ、原則として1年以内の範囲で納税の猶予を受けることができます。 

期限の延長だけではありません。地震などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告による所得税の雑損控除か、または、災害減免法に定める税金の軽減・免除のどちらか有利な方を選んで所得税の全部又は一部を軽減することもできます。 

消費税については、所轄税務署長の承認を受けることにより、災害などが生じた日の属する課税期間から簡易課税制度に切り替えるか、または、簡易課税制度の適用をやめることができます。 

不満は住民税へ。源泉所得税の異議申立て激減―19年度不服申立て状況

2008年06月23日

国税庁が今年3月までの1年間に発生した税務署への異議申立て、国税不服審判所への審査請求、税金裁判の状況を公表しました。それによると、源泉所得税に関する不服申立てが大幅に減少しています。 

税務署による課税処分に不服がある場合、原則として、まず税務署長へ異議申立てを行い、その審議結果に納得できない場合は国税不服審判所に審査請求書を提出します。そして、審判所の裁決にも不服があるときは、裁判所に提訴するという段階を踏まなければなりません。 

国税庁がこのほど公表したのは、平成19年度中の納税者からの不服申立て状況に関する結果です。今回の特徴は、源泉所得税の異議申立てが前年度よりも4割も激減していることです。 

これは前年度が、配偶者特別控除の廃止や住宅ローン控除制度の縮減、定率減税の廃止などで異議申立ての件数(185件)が急増したことが理由として挙げられます。それに輪をかけて、平成19年度では、国から地方への税源委譲により住民税の負担が重くなり、不満をぶつける対象が住民税に移ったことから、源泉所得税に関する異議申立て件数が117件にとどまったため、前年度よりも大幅に減ったわけです。 

今回の公表されたデータの概要を見てみると、異議申立ての発生件数は4,690件で、源泉所得税に係る事案が減少しましたが、全体的に増加し、前年度と比べると9.0%増えています。審査請求も、発生件数が2,755件で、相続税・贈与税、徴収関係に係る事案などが減少しましたが、全体的に増加し、前年度と比べて10.0%増えました。しかし、訴訟については、発生件数が345件で、法人税、消費税が増加していますが、全体的に減少し、前年度に比べると14.0%減少しています。

国税庁のe-Taxに対して日税連が改善要望

2008年06月16日

電子申告控除制度を恒久的な制度に―、このほど日本税理士会連合会(日税連、池田隼啓会長)が、国税の電子申告・納税システム(e-Tax)について改善要望書を国税庁に提出しました。 

日税連が、このほど、e-Taxに関する改善要望書を国税庁企画課に提出しました。この要望書は、日税連の情報システム委員会(奥住壽委員長)が取りまとめたもので、平成19年分の所得税の確定申告において、電子申告を行った結果、税理士の視点で改善を要すると思われた点が盛り込まれています。 

改善要望事項を見てみると、e-Taxを使って申告書を送信したあと、メッセージボックスが利用者ごとに用意され、受信通知などの情報がそこに格納されますが、そのメッセージボックスについて「税理士関与の納税者の場合、初期登録の際に納税者のメールアドレスとは別に税理士のメールアドレスも併せて登録できるようにすること」や「メールのタイトルには納税者氏名を明記すること」などを要請しています。また、電子申告を行った納税者については、翌年度は紙ベースの申告書の事前送付がストップしますが、それに対して「何らかの方法で納税者及び税理士へ情報提供を行うこと」を求めています。 

さらに、平成19年分と20年分の所得税の確定申告について、e-Taxを利用した場合、1度だけ5,000円の電子証明書等特別控除(電子申告控除制度)が適用できることになっていますが、この電子申告控除制度について「平成22 年度までに電子申告の利用率50%達成を目指すために、相応の金額の恒久的な電子申告控除を創設すること」としています。 

沖縄の伊平屋村が環境協力税創設へ。訪問1回につき100円

2008年06月16日

沖縄県島尻郡伊平屋村が要請していた法定外目的税の「環境協力税」の新設について、このほど総務省が同意しました。条例制定後に伊平屋村で同税が施行されます。 

沖縄県島尻郡伊平屋村(しまじりぐんいへやそん)は、平成20年3月11日に総務省に対して法定外目的税の「環境協力税」の新設について同意を求める申し入れを行いました。それを受け、これまで協議が行われてきましたが、6月6日、総務省は同税の新設に同意しました。 

伊平屋村では、観光産業による入域者の増大策が重要課題となっていて、これまで米崎(よねざき)キャンプ場や念頭平松(ねんとうひらまつ)公園、腰岳(こしだけ)森林公園など観光施設の整備を行ってきました。しかし、その観光施設の整備と維持には費用がかかり、特に島内の環境の美化・保全には毎年多額の費用が必要となっている状況があります。そこで、伊平屋村では島内環境の美化・保全、観光施設の維持管理などの費用に充てるため「環境協力税」を創設することにしたわけです。 

環境協力税の具体的な仕組みについてですが、課税客体については、旅客船等により伊平屋村へ入域する行為に課税するとされています。そして、課税標準は、旅客船等により伊平屋村へ入域する回数です。税率は、1回の入域につき100円とされていて、旅客船などの運営業者がその100円を徴収する特別徴収となっています。したがって、あくまでも納税義務者は、旅客船などで伊平屋村へ入域する者となるわけです。 

伊平屋村では、環境協力税の収入見込額について、平年度で200万円を想定しています。なお、障害者や高校生以下の入域者については非課税とされています。

住宅ローン控除廃止で駆け込み適用クッキリ―総務省の家計調査

2008年06月09日

総務省統計局が、家計調査の平成18年分を公表しました。同調査は、全国168市町村の約9,000世帯に毎日の収入・支出を専用の「家計簿」に記入することを委託し、それを集計したもので、今回は住宅ローン控除制度の廃止に伴う駆け込み適用者が多かったことを垣間見ることができます。 

平成18年分の家計調査「家計簿からみたファミリーライフ」が公表されました。その中の、世帯人員や物価の変化の影響を取り除いた「消費水準指数」による生活水準を見てみると,バブル経済が崩壊した平成4~5年をピークに下がり始め、平成18年は平成元年と同じ水準となっています。 

最もお金が費やされたのはテレビで、1世帯当たり1ヵ月平均の支出金額を四半期ごとに見てみると、薄型テレビの価格が下落したことや、トリノオリンピック(平成18年2月10日~2月26日)、さらには、サッカーのワールドカップドイツ大会(18年6月9日~7月9日)による特需もあって、18年1~3月期、4~6月期は前年に比べ70%以上の実質増加となりました。平成18年7~9月期は増加幅が縮小しましたが、10~12月期は再び拡大しています。 

一方、勤労者世帯に占める住宅ローン返済世帯の割合について近年の動きを見てみると、平成12年、13年に34.1%となった後、14年、15年と低下しました。しかし、平成16年は35.2%と比較的高い水準となっています。これについて、同調査結果では「17年から住宅借入金等特別控除が段階的に縮小されることを控え、駆け込み需要が発生したため」と分析しています。また,平成18年は持家率の上昇とともに、住宅ローン返済世帯の割合も上昇しています。

国税庁がシステム最適化計画で税務調査に積極的にITを活用

2008年06月09日

国税庁の業務システム最適化計画が財務省行政情報化推進委員会で決定されました。税務調査や国税の滞納整理に一段とIT活用が進みそうです。 

「電子政府構築計画」(各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)に基づいて、国税庁では、2006年3月から業務・システムの最適化に取り組んでいます。今回の計画は、「これまでの取り組みを踏まえながら、更なる最適化を図るために実施するもの」と国税庁では説明しています。 

国税の業務システムは、国税総合管理システム(KSKシステム)と国税電子申告・納税システム(e-Tax)、集中電話催告システム、タックスアンサーシステムなどのシステムで処理が進められています。 

今回の業務システム最適化計画で注目されるのは、やはり「IT活用による調査・滞納整理に関するシステムの高度化」です。計画書では、「納税者に関する各種情報の相互活用等」と題して「個人や法人が構成するグループが多様化・広域化しており、これに対応するため、グループを構成する個人・法人やグループ全体の情報を一体的に把握する必要がある。また、金融資産や不動産等の資産情報を的確に把握する必要も高まっている。このため、各部署が保有する情報の相互活用を図り、個人・法人の情報をシステム上一元的に管理することにより、効率的な調査を行う」としています。 

また、国税局査察部(マルサ)については「KSKシステムとOAシステムで二元管理されている資料情報を一元化するなど、査察に関するシステムの高度化を図る」と調査官への精度の高い情報の提供に力を入れていくことを示唆しています。

法人事業税改正後も超過課税の上乗せ税率変わりません!!―東京都

2008年06月02日

東京都が一般企業や特別法人に課税している法人事業税の超過課税について、今年10月から施行される地方法人特別税との関係を説明し始めました。 

今年4月30日に国会で成立した平成20年度税制改正関連法で、暫定措置として法人事業税の一部国税化が実施されることになりました。地方税の法人事業税の一部を地方法人特別税として、自治体が国に献上するというもので、納税する一般企業などの納税額に変化はありません。 

ただ、納税額の総額に変化はないものの、内訳を見ると法人事業税の標準税率が引き下げられた形になります。これで戸惑っているのが東京都です。都では法人事業税の超過課税を実施していて、法人事業税の税率が下がったことから、他の自治体が採用している標準税率の上乗せ部分も縮小すると思い込む企業が出てくることを危惧しているのです。そこで、都では「暫定措置の実施期間中については、現行の標準税率と超過税率の差分はそのまま、税制改正後の標準税率に加算されるよう、超過税率を設定します」と説明しています。 

つまり、標準税率に上乗せしている税率は変えないというわけです。例えば 改正前までは、普通法人の場合、年所得のうち800万円を超える所得の区分における法人事業税の標準税率は9.6%で、上乗せ税率は0.48%でした。これについて、改正後は法人事業税の標準税率が5.3%に引き下げられますが、上乗せ税率は0.48%のまま課税されるわけです。 

地域力連携拠点事業スタート。税理士がコーディネーターとして活躍

2008年06月02日

地域のやる気のある企業経営者を国、自治体が行政資源を総動員して応援する地域力連携拠点事業が5月30日に全国一斉にスタートしました。 

5月30日、経営力の向上や事業承継など、中小企業が直面する課題に対してワンストップできめ細かな支援を行う「地域力連携拠点」316機関が、全国の経済産業局に設置されている審査委員会の厳正な審査の結果採択されました。 

地域力連携拠点事業は、同拠点と2000を超える支援機関がパートナーを組んで地域の中小企業をサポートするとともに、同拠点のうち102ヵ所は事業承継支援センターとして活動するというものです。同日、その地域力連携拠点事業が、全国一斉にスタートしました。 

政府が実施する地域力連携拠点事業は今年度から始まる新規事業で、52億円の予算がついています。その予算は、地域において優秀な支援者となるコーディネーターと中小企業支援機関である「地域力連携拠点」の内部にいるコーディネーターの活動費などに使われます。優秀な支援者は、約430名の中小企業支援のノウハウ・実績を持つ中小企業診断士、税理士、企業OBなどです。 

そして、そのコーディネーターは、他の中小企業支援機関とのつながりを活かして、悩みを抱える中小企業や新しいことを始めたい中小企業などを積極的に見つけ出し、経営上の課題の正確・迅速な把握や課題解決に向けた戦略の立案を支援することになっています。

都内ナンバーの混和軽油検出率過去最低をマーク。課税件数も減る

2008年05月26日

このほど、東京都が平成19年度の「不正軽油撲滅作戦」の実績と成果をまとめました。それによると、都内ナンバーからの混和検出率が作戦開始以来過去最低をマークしています。 

東京都では、不正軽油撲滅作戦を平成12年度から展開しています。 

不正軽油とは、軽油に課税される軽油引取税の脱税を目的として、軽油に灯油や重油をまぜた混和軽油を用いたり、灯油と重油をまぜて、濃硫酸や苛性ソーダなどの薬品により脱色・クマリン除去処理を行って製造したりしたものを言います。 

そこで、その混和軽油について調査分析したところ、平成19年度は、都内ナンバーの車両2,492本を分析し5本(0.2%)の混和軽油を検出しました。この混和検出率0.2%は作戦開始以来最低の数値です。しかし、他県ナンバーの車両については、2,247本を分析して32本(1.4%)の混和軽油を検出、依然として1%を超えています。 

一方、不正軽油の取締りとして抜取調査を実施していますが、これについて抜取本数は7,360本でしたが、その調査により12件に対して課税、その課税額等は6,623万6千円にのぼりました。ちなみに、平成18年度は、抜取本数が7,033本で18件に課税、課税額は5億3,222万7千円でした。 

消費税率アップと所得課税ベース拡大は必至―IMF訪日代表が声明

2008年05月26日

日本経済に関する年次4条協議のために訪日していた国際通貨基金(IMF)代表団が、日程終了に際して、増税の必要性を強調した声明を発表して話題となっています。 

日本経済に関する年次4条協議のために訪日していたIMFアジア太平洋局次長ダニエル・シトリン率いる代表団が、5月13日から22日にかけて、日本政府高官や日本銀行幹部、民間部門の代表と最近の経済動向や今後の政策課題について協議、その訪日日程の終了に際して声明を発表しました。 

同声明では、日本経済について「米国経済の減速及び世界金融市場の混乱に対する耐性を示してきた。米国以外の地域向け輸出及び家計消費に牽引され、2008年第1四半期の経済活動は堅調であったものの、世界経済成長の鈍化と交易条件の悪化によりモメンタムは減速していくものと見込まれる。そして、民間設備投資及び民間消費の減速により、国内総生産(GDP)成長率は2008~09年にかけて1.5%程度に鈍化すると予想する。商品及び燃料価格の上昇を反映し消費者物価指数(CPI)のインフレ率はやや上昇するものの、インフレ基調は引き続き抑制されたものとなろう」と述べています。 

注目の財政政策については、「既に高水準にある債務負担を削減し人口高齢化からの支出要請に対処する必要性により規定されるべきである。過去4 年間にわたり、大幅かつ予想を上回るプライマリーバランス(社会保障を除く)の赤字削減がなされてきた。当局は2011 年度までにプライマリーバランスの均衡を目標としている。しかし、公的債務比率を確実に引き下げていくために、更なる財政構造改革が必要であると考える。歳出削減努力も限界に近づきつつあることから、財政再建のためには、消費税の引き上げや所得税の課税ベースの拡大を含む歳入面での施策が必要となろう」という見通しを立てました。 

話題の自動車税クレジットカード納税。ヤフー「公金サイト」に話題集中

2008年05月19日

タレントの東国原英夫県知事の登場で注目されている宮崎県が、昨年導入した自動車税のクレジットカードによる納税を、今年は佐賀県や熊本県、香川県などが取り入れて話題を集めています。 

自動車税とは、自動車の所有に対して課税される道府県税で、対象となる自動車は、道路運送車両法の適用を受ける自動車のうち普通自動車と三輪以上の小型自動車です。原則として自動車の所有者に課税されることになっていて、毎年4月1日現在の所有者に1年分が課税されます。 

今年もすでに各都道府県は、自動車税の納税通知書の発送を終えたところですが、いま話題となっているのが自動車税のクレジットカードによる納付です。宮崎県が導入第1号ですが、今年は佐賀県や熊本県、香川県などが取り入れています。 

クレジットカードによる自動車税の納付は、納税者の利便性の向上を図るためのもので、銀行やコンビニなどに行かなくても、パソコンや携帯電話から24時間納付ができるというのがウリです。 

具体的には、パソコンや携帯電話でYahoo!JAPANの「公金サイト」に接続し、案内に沿って納税通知書の納付番号やクレジットカード番号、支払方法などを入力するだけで現金の持ち合わせがなくても納付することができます。カード会社への支払いも分割ができるなど、支払方法の選択も可能で、手数料300円がかかりますが、その手数料はポイントで一部還元されます。ただし、利用できるカードは、VISAとマスターカードです。

日本経団連の基礎年金全額税方式導入提言に財務省がクギ

2008年05月19日

日本経済団体連合会(御手洗冨士夫会長)が公的年金制度の基礎年金を全額税方式にする提言を発表する意向を示したことに対して、財務省が負担と給付を一体として議論するよう求めました。 5月14日に日本経団連が、社会保障制度改革に関する提言の中間とりまとめを発表しました。それによると、現役世代が保険料で高齢世帯を支える現行のシステムには限界があることから、消費税などを財源とした公費負担中心のシステムに移行すべきだとの立場を強調し、基礎年金部分については全額税方式にすることが「有力な選択肢」と記述しています。今秋にも具体的な制度設計を盛り込んだ提言を発表する予定です。 これについて、翌15日の記者会見で、記者からの質問された津田廣喜財務省事務次官は「詳しい内容はまだ承知してないので、直接のコメントは控えさせてもらう。いずれにしても、年金をはじめとして社会保障制度は国民生活に直接係わる問題だし、財政にとっても将来の最も中心的な課題であるから、様々なところで提案をいただいたり、議論が行われるということは是非お願いしたいし、必要なことだというふうに思う。その際には、やはり負担と給付を一体のものとして是非議論をしていただきたい」とクギをさしました。

東京都が自動車税納税証明書の氏名欄の印字内容を変更

2008年05月12日

今年も自動車税の納税時期がやってきましたが、東京都がその納税通知書に付随している納税証明書(継続検査用)の氏名欄を変更しました。 

東京都が今年度から、納税者の個人情報保護のため、自動車税納税証明書(継続検査用)の印字内容を変更しました。これまで同納税証明書の氏名(名称)欄には、納税者(所有者又は使用者)の氏名でしたが、そこが「#######」といった#(シャープ)で表示・印字されています。 

氏名が明記されていないため、車検用として使えるのかどうか戸惑う人が出る可能性があることから、東京都では「これまでどおり車検用としてご使用になれます」と呼びかけています。 

自動車の継続検査を受ける場合、都道府県が納税者の自宅に郵送する「自動車税納税通知書兼納付書(領収証書)」等と一連の書類となっている納税証明書(継続検査用)が必要です。東京都は、その納税証明書の印字内容を変更したわけです。 なお、原則として納期限まで納付し、金融機関の領収日付印の押印のあるものが納税証明書として使用できるのであって、納税証明書の「自動車の所有者の氏名又は名称」欄に「前年度以前に、当該自動車について未納の自動車税がある」または「当該自動車の検査有効期限が来年度以降に到来する」といった記載があるものは使用できません。 

中小企業の会計指針改正。棚卸資産の評価基準が帳簿価額ベースに

2008年05月12日

中小企業の会計指針を取りまとめている「中小企業の会計指針作成検討委員会」が、このほど平成20年度版の指針を公表しました。 

中小企業の会計指針作成検討委員会は、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会が主体となって設置したものです。その4団体では、中小企業の会計指針を取引の実態に合わせたより合理性のあるものとするために、年次ごとの見直し及び改正を行うことを申し合わせていることから、今年も「中小企業の会計に関する指針」の改正を行ったわけです。 

今回の改正は、昨年4月27日の同指針の改正後に企業会計基準委員会が公表した各種の企業会計基準等のうち、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」及び同13号「リース取引に関する会計基準」に対応した会計処理の見直しを行ったほか、法人税法の改正及び金融商品取引法の施行等を踏まえた修正が行われています。 

特に注目されるのは、棚卸資産の評価基準の改正です。これまでは「棚卸資産は、原価法又は低価法により評価し、原則として継続適用する」とされていましたが、今回の改正で「棚卸資産の期末における時価が帳簿価額より下落し、かつ、金額的重要性がある場合には、時価をもって貸借対照表価額とする」とされています。 

中小企業の交際費優遇措置は4月1日まで遡り適用―平成20年度税制

2008年05月07日

4月30日に平成20年度税制改正関連法案が衆議院で再議決され、翌日施行されましたが、それまで不透明だった租税特別法の適用期限切れ措置について、財務省が4月1日に遡って適用するものなどを発表しました。 

参議院で決議されなかったために今年3月31日に適用期限が切れてしまった租税特別措置法が、今回の衆議院の再議決により5月1日に復活しました。しかし、空白となった4月1日から4月30日までの期間に適用期限切れで無くなった優遇措置もあれば、無くなった厳しい措置もあります。基本的に税法の改正により納税者が不利となるような遡り適用は実施されないものですが、今回はいくつもの軽減措置や増税措置が盛り込まれた租税特別措置法が一時失効となったことから、ここで再度遡り適用される制度の確認を行っておく必要があります。 

納税者にとって、一番関心が高いのは有利な制度ですが、まずは、中小企業が支出した400万円までの90%の交際費について損金算入が認められる交際費等の損金不算入制度については、4月1日まで遡って適用できます。次に、3,500万円の特定控除枠が設けられている住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例については、平成20年1月1日まで遡り適用となりました。さらに、厳しい措置である「使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例」と「欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置」は、4月1日から5月1日の間は不適用となっています。 

車齢13年超のガソリン車の自動車税重課遡り適用

2008年05月07日

平成20年度税制関連法案が4月30日の衆議院本会議で再議決され、ようやく今年度の歳入計画が動き出しました。ただ、地方税で予想外にも自動車税の重課税が遡り適用となったので注意が必要です。 平成20年度税制改正関連法案は、参院送付後60日が経過し、参院での可否が示されなかったことで「みなし否決」とされ、憲法の規定により衆院で再議決されました。これにより、翌日からガソリンの末端価格が値上りすることで話題が沸騰するなか、同じ自動車関連の自動車税が増税されました。 自動車税は、軽自動車を除く普通・大型自動車を所有している人に課税される都道府県税で、毎年4月1日に運輸支局に登録されている車の所有者にかかる税金です。地球温暖化防止措置として、車齢13年超のガソリン車については、租税特別措置法で原則税率におおむね10%重課が課せられていました。これは自動車税のグリーン化とも呼ばれている措置で、平成20年度税制改正関連法案に延長措置が盛り込まれていましたが、年度内に成立しなかったために平成20年3月31日で適用期限が切れてしまいました。 そこで、今年4月1日には自動車税の10%重課が存在しなかったことから、車齢13年超のガソリン車を持っている人は実質的に減税されたことになっていたのですが、5月1日に総務省が「平成20年度税制改正について」発表した内容を見てみると「自動車税の重課対象は、従前と同様」とされていて、ある意味遡り適用(増税)となっています。