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2008年04月28日
国税庁が、平成18年分の相続税の申告結果と、平成18年分の相続税の申告に対して税務署などが平成19年10月末までに実施した税務調査による課税事績とをプラスしたものを公表しました。
このほど、国税庁が公表したものは、平成18年中に相続が開始した被相続人から相続、遺贈又は相続時精算課税に係る贈与により財産を取得した者について、平成19年10月31日までの間の申告又は処理(更正、決定等)による課税事績を「申告書、決議書等」に基づいて作成されたものです。
昨年12月に国税庁が発表した平成18年分の相続税の申告状況は、平成19年10月31日までに提出された相続税の申告書に基づく数字なので、今回公表した数字は相続税に関する税収から見ると実態に近いものと言えます。
具体的には、平成18年分の相続人数は13万4722人(前年13万5803人)で、被相続人は4万5322人(同4万5152人)でした。前年に比べて相続人は1081人(伸び率△0.8%)減少し、被相続人は170人(同0.4%)増加しました。また、相続税の課税価格は10兆4056億円(前年10兆1953億円)で、納付税額は1兆2234億円(同1兆1567億円)でした。前年に比べて課税価格は2103億円(伸び率2.1%)増加し、納付税額も667億円(同5.8%)増えています。
相続税の取得財産価額を種類別に見ると、トップが土地で5兆4491億円(構成比47.8%)、次に現金・預貯金等の2兆3488億円(同20.6%)と続き、3位が有価証券1兆7,966億円(同15.8%)でした。
2008年04月28日
道路特定財源問題について、国会で審議が進まないことから、額賀福志郎財務大臣が1日当たり国と地方合わせて70億円の税収不足が発生していることを記者会見で再度明らかにしました。
4月22日に行われた記者会見で「道路の暫定税率が失効した状態が続いているが、いつ再議決して復活するかについてはこれからの話であるが、いろんなケースを想定してどのような税収の穴埋め策を考えているのか」との質問が額賀財務相に行われました。それに対して、額賀大臣は「現実的に、今、我々が直面しているのは、1日国費で40億円、地方で20億円の税収不足を来しているということである。
こういうことがないように、国会の場できちっと政府案について成立させていただきたいということが、我々の願いだ。そのために与野党の協議会もスタートしたところなので、是非早く結論をつけていただきたいと思っている」と日々歳入不足が発生していることを強く訴えました。
そして、その歳入不足を今後どのようにして取り戻すのかについては「税収不足が具体的にどの程度になるかということをよく把握した上で対応していくことが重要なので、今の段階でこういうふうな対応策を考えているということについては、控えさせていただきたい」として額賀大臣は、増税か、または国債の発行など何らかの措置が必要であることをにおわせる発言を行いました。
2008年04月21日
国税庁がe-Taxソフトの法人税関係などで平成19年度の税制改正に対応したものに改良しました。今年4月14日からその改良版へバージョンアップできるようになっています。
e-Taxは、インターネットを使って国税の電子申告・納付ができる国税庁のシステムです。今回、そのe-Taxで利用できるe-Taxソフトを国税庁が平成19年度税制改正に対応したものに改良しました。具体的には、法人税関係や連結法人税関係 、消費税関係、源泉所得税関係、酒税関系等について、平成19年度税制改正に対応する各手続の追加・削除及び帳票の変更を行っています。
また、e-Taxソフトの使用に当たっての注意事項として、法人税申告書別表十七(一)の中に、ミスリードがあったことを明らかにしています。同別表は、「国外支配株主等に係る負債の利子等の損金不算入に関する明細書」で、損金不算入額の欄にある「(26)が(27)を超える場合」、「(26)が(27)以下である場合」の記述が上下逆転していて、正確には「(26)が(27)以下である場合」が上で、下に「(26)が(27)を超える場合」が入るとしています。
2008年04月21日
国税庁が、平成18年に制定された新信託法に関する税務解釈通達を公表しました。国税の取立てから逃れること目的として委託した詐害信託への対応などを新たに示しています。
このほど、国税庁が公表した税務解釈通達は、国税徴収法基本通達の一部改正(案)というものです。その改正は、信託法の全文改正に伴う改正、国際刑事裁判所協力法等の制定に伴う改正、郵政民営化法の施行に伴う郵便貯金に対する滞納処分手続の改正などが主な内容となっています。中でも、信託法の全文改正に伴う改正が注目されています。
例えば、信託法第11条の詐害信託の取消しについては、「納税者が委託者である場合において、納税者が債権者を害することを知って信託をしたときは、受託者が債権者を害すべき事実を知っていたか否かにかかわらず、受託者を被告としてその信託の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、受益者が現に存する場合において、その受益者の全部又は一部が受益者としての指定を受けたことを知った時又は受益権を譲り受けた時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、信託の取消しを裁判所に請求することはできない」としながらも、「信託が終了することにより信託財産に属する財産が、委託者又はその相続人その他の一般承継人に帰属することとなる場合においては、それらの者の滞納国税を徴収するため、それらの者に代位して受益者と合意することにより、信託を終了することができる」と定めています。
2008年04月14日
平成20年4月14日から、e-Taxで利用するルート証明書が、財務省認証局発行のものが使えなくなり、政府共用認証局発行のものだけとなりました。
e-Taxは、納税者が所有する自宅や会社のパソコンを使って、インターネットを通じて国税の申告や各種届出、納付ができる国税庁の電子申告システムです。
利用者は、e-Taxのシステムに搭載されているe-Taxソフト等を利用するに当たり、認証局を信頼の基点とすることに同意し、その認証局のルート証明書をパソコンにインストールする必要があります。パソコンにインストールしたルート証明書は、配付されたプログラム、受付システムから送信されたデータ、電子納税証明書、接続先のサーバが、本当に国税庁のものであるかを確認するために使用するものです。
これまで認証局には、財務省認証局、財務省運用支援認証局、政府共用認証局(官職認証局)、政府共用認証局(アプリケーション認証局)があり、そのうちのひとつをe-Taxの利用者は選択することになっていました。
しかし、その認証局について、4月14日から、財務省認証局発行のもが使えなくなり、政府共用認証局発行のものだけに変更されました。国税庁では「同日以降は、過去にインストールしたルート証明書は使えません。政府共用認証局の新しいルート証明書を再度インストールしないと、e-Taxソフト等が正しく動作しないので注意が必要です」としています。
2008年04月14日
税源移譲による特例措置とされている住民税からの住宅ローン控除の申告について、申告期限後でも大丈夫であることを総務省がPRしています。
所得税の住宅ローン控除制度(正しくは住宅借入金等特別控除制度)は、購入した住宅の年末ローン残高の一定割合を10年間にわたって所得税額から控除できるという有利な制度です。
ただ、国税の所得税から地方税の住民税への税源移譲により、多くの人が平成19年1月から所得税が減り、その分6月からの住民税が増えています。そこで、政府は激変緩和措置として、所得税額から住宅ローン控除の控除額を引ききれない人や平成19年に所得が減って所得税が課税されなくなった人について、市区町村に申告すれば住民税が軽減される特例措置を設けました。
控除できるはずの住宅ローン控除の金額が控除しきれない場合については、具体的には、平成18年末までに入居し、所得税の住宅ローン控除を受けている人で、所得税から控除しきれなかった額がある場合に、住んでいる市区町村へ申告することにより、翌年度の住民税(所得割)から控除できることになっています。総務省では、この特例措置を知らなかった人が多くいると判断、そこで、「対象者の方は、今年3月15日までに市区町村に申告を行う必要がありましたが、まだ申告を行っていない方は、平成20年度分の住民税の納税通知書が送達される時までに忘れずに申告してください」と呼びかけています。
2008年04月07日
このほど、国税庁が相続税の資産の評価で用いる財産評価基本通達の一部を改正しました。これは、自民党の平成20年度税制改正大綱で指摘されたことを受けてのものです。
自民党の平成20年度税制改正大綱の中で指摘されたのは、相続資産の営業権の評価に関するものです。
これまで、事業者が保有する営業権の評価額については、まず「次の算式によって計算した価額と課税時期を含む年の前年の所得の金額(営業権の価額が相当高額であると認められる著名な営業権については、その所得の金額の3倍の金額)とのうちいずれか低い金額に相当する価額によって評価する」と規定されていましたが、その規定の中の「価額と課税時期を含む年の前年の所得の金額(営業権の価額が相当高額であると認められる著名な営業権については、その所得の金額の3倍の金額)とのうちいずれか低い金額に相当する価額」という部分が「金額」とされました。
そして、「次の計算式」について、「平均利益金額×0.5-企業者報酬の額-総資産価額×営業権の持続年数(原則として、10年とする)に応ずる基準年利率=超過利益金額」とされている中の「企業者報酬の額」と「営業権の持続年数(原則として、10年とする)に応ずる基準年利率」が改正されました。
「企業者報酬の額」は、「標準企業者報酬額」とされ、「平均利益金額が5,000万円以下の場合は、営業権の価額は算出されない」とされたほか、企業者報酬の額について「平均利益額1億円以上は10%相当額」とされていたものが、「平均利益金額が1億円超3億円以下は平均利益額×0.2+ 2,000万円」「平均利益金額が3億円超5億円以下は平均利益金額×0.1+5,000万円」「平均利益金額が5億円超は平均利益金額×0.05+7,500万円」とされました。
一方、「営業権の持続年数(原則として、10年とする)に応ずる基準年利率」については「0.05」とされています。
2008年04月07日
このほど、国税庁が消費税法の細かな取扱いを定めている基本通達の一部を改正しました。そのなかで、リース資産に関する取扱いで新たなものが付け加えられているので注意が必要です。
消費税は資産の売買や役務の提供により支払われる料金に5%の税率(地方消費税含む)で課税されるもので、当然、資産のリース料にも課税されます。今回、国税庁がその消費税法の取扱い基本通達を一部改正し、新たな取扱いとして「リース期間の終了に伴い返還を受けた資産」に係るものを設けました。
通達番号は「9-3-6の4」とされていて、「リース期間の終了に伴い賃貸人が賃借人からそのリース取引の目的物であった資産の返還を受けた場合における当該資産の返還は、資産の譲渡等に該当しない」としています。
そして「当該資産に係るリース契約の残価保証額の定めに基づき賃貸人が賃借人から収受する金銭は、その収受すべき金額が確定した日の属する課税期間における資産の譲渡等の対価の額に加算するものとする」とされました。
残価保証額とは、リース期間終了の時にリース資産の処分価額が、リース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を、そのリース取引に係る賃借人がその賃貸人に支払うこととされている場合における保証額のことです。
なお、この取扱いは、平成20年4月1日以後に締結される契約に係るリース取引について適用されます。
2008年03月31日
道路特定財源の暫定税率維持・廃止、一般財源化をめぐり国会が紛糾し、平成20年度税制改正関連法案の年度内成立が難しくなっていますが、その法案の年度内不成立を年季の入った自動車を持つ人たちが大歓迎しています。
年季の入った自動車を持つ人たちが、平成20年度税制改正関連法案の年度内不成立を期待している理由は、ガソリンの値下がりだけではありません。じつは、自動車税が前年よりも10%引き下がるからです。
自動車税は、軽自動車を除く普通・大型自動車を所有している人に課税される都道府県税で、毎年4月1日に運輸支局に登録されている車の所有者にかかる税金です。
じつは、地球温暖化防止措置として、車齢13年超のガソリン車については、租税特別措置法で原則税率におおむね10%重課が課せられています。これは自動車税のグリーン化とも呼ばれている措置の一環で講じられているもので、それが平成20年3月31日で期限切れとなるのです。
現在国会に提出されている平成20年度税制改正関連法案には、当然、その車齢13年超の自動車に対する10%重課措置の延長が盛り込まれています。したがって、初期登録後13年を超える自動車を持っている人たちが、税制改正関連法案の年度内不成立を固唾を飲んで見守っているわけです。
奇しくも、3月28日には、政府が地球温暖化対策推進法に基づく京都議定書目標達成計画の改正案を閣議決定しました。同改正案の趣旨説明には環境税の導入と自動車排出ガス抑制のための施策を検討することが盛り込まれています。
2008年03月31日
(社)電子情報技術産業協会(JEITA、会長=町田勝彦シャープ会長)が3月28日、平成21年度税制改正へ向けて法人税の軽減を盛り込んだ要望を政府に行うことを公表しました。
JEITAは、電子機器・部品の健全な生産や貿易、消費の増進を図ることにより、電子情報技術産業の総合的な発展を支援している業界団体です。3月28日、町田会長が2008年度の主要事業への取り組みなどについて記者発表を行いました。
そのなかで、町田会長は税制についても触れ「平成20年度税制改正法案に盛り込まれている情報基盤強化税制、研究開発促進税制の拡充延長の成立を期待する」としました。そして「国際競争力を保持するという点でも、法人税の見直しは必須だと考えている。アジアや欧州での法人税率の引き下げか相次ぐなか、日本の40%というような税率の国は無くなっている。
企業の優遇税制につながるという指摘もあるが、私企業の問題ではなく、日本経済の体力そのものが衰退することにも繋がりかねない問題。ねばり強く取り組んでいく」として、平成21年度税制改正について法人税の減税を要望することを明言しました。
なお、町田会長は電子産業における需要動向について、「電子部品は、エレクトロニクス需要の先行指標になるものだが、今年1月には34カ月ぶりに前年実績を割りこみ、2月にも前年割れとなった。また、3月も私の考えでは、前年を下回り、4月も同様の結果になるだろうと思う。しかし、5月以降、北京オリンピックがもたらす需要によって、伸張することが期待される」と語りました。
2008年03月24日
地方交付税の廃止などを盛り込んだ「道州制の導入に向けた第2次提言―中間とりまとめ―」を日本経済団体連合会(御手洗冨士夫会長、日本経団連)が発表しました。
同提言のタイトルにもあるように、日本経団連が道州制に関する提言を行うのは今回で2回目です。そもそも、日本経団連が考えている道州制は、現在の都道府県を廃止し、これに替わる広域自治体として全国を10程度に区分する「道州」を新たに設置して、地方公共団体を道州および市区町村などの基礎自治体との二層制にすることを目指しています。
多くの地方自治体が財政難にあることから、税財源の確保が一番の課題となっているわけですが、それについて同提言では、「現行の地方交付税、国庫補助負担金は廃止します。そして、国・地方を通じた政策課題に対応するための財源、およびこれまで地方交付税が担ってきた財政調整を水平的に行うものとして、新たに『地方共有税』(仮称)を創設いたします。さらに、社会保障や教育など、全国的に一定水準を保障すべき費用について国から道州および基礎自治体に財政移転が維持される必要がある場合には、使途を特定した『シビルミニマム交付金』(仮称)を新設し、道州、基礎自治体に交付するようにします」といったことを国に求めています。
さらに、地方の国への財政依存体質については「個人住民税や固定資産税など、地域の住民が自ら担うことのできる税目に加え、地域による偏在が少なく、かつ地域の住民が自ら担うことのできる消費税(地方消費税)を活用することも、一つの考え方です」として、独立した財政運営を行えるような環境づくりも提案しています。
2008年03月24日
金融機関やコンビニエンスストアが発行する住民税などの領収書を偽造する犯罪が、多発していることを東京都が明らかにしました。
東京都によると、金融機関やコンビニの発行する領収書について、平成19年度内だけでも、領収印を偽造して納税済みを装うなどの悪質な事件が5件発生したとしています。そのうち1件だけだが、逮捕・起訴・有罪が確定していて、告発したのが1件、警察署と協議したものは3件ありました。
有罪が確定した1件の犯行内容は、わずか7,400円相当の都税の領収書について、領収印・印影を偽造して納税を装ったもので、平成19年11月に懲役1年、執行猶予3年の判決が確定しています。
ちなみに、公文書偽造については刑法で罰則が設けられていて、1年以上10年以下の懲役とされています。公文書の偽造やその行使は罰金ではなく懲役刑が科される重罪なのです。
東京都では、「今後とも、犯罪行為に対しては、敢然と立ち向かい、納税秩序の確保に努めていきます」として、「納税情報を厳格に管理し、不正を見逃さない」、「収納機関など関係者と協力し、徹底した事実調査を行う」「犯罪行為があると判断した場合には、警察に通報・協議、告発等を行う」など強い態度で臨む構えをみせています。
2008年03月17日
2008年度税制改正関連法案の年度内成立が困難な状況となり、道路特定財源の暫定税率廃止だけが取り沙汰されていますが、年度内不成立となると経営に大きな影響を及ぼす税制があることに中小企業の多くが危機感を覚えています。
3月13日にようやく参議院の予算委員会で予算審議が始まりましたが、時間的な余裕がなく税制関連法案の年度内成立が困難な状況になっています。どのマスコミも道路特定財源に設けられている暫定税率の廃止ばかりを取り上げて報道していますが、中小企業の間では、経営に影響のある日切れ法案(租税特別法で適用期間が限定されている税制)の行方に注目が集まっています。
例えば、少額減価償却資産の特例です。資本金1億円以下の中小企業が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、全額損金算入が認められる制度で、その適用期限は今年度末までとなっています。今回の税制改正関連法案では、同特例の2年間延長が盛り込まれているわけですが、もし、年度内に成立しなければ、4月1日以後に10万円以上の減価償却資産を購入した場合は、全額損金算入ができなくなります。
また、資本金1億円以下の企業に認められている交際費の損金算入特例も同じです。同特例は、支出した交際費について、定額控除限度額(400万円)までは、90%相当額について損金算入が認められるという制度で、これも今年度末で期限が切れることから、2年間の延長措置が今回の法案に盛り込まれています。年度内に税制改正関連法案が成立しなかった場合、こうした特例が適用できなくなるため、中小企業は経営計画を練り直さなければならない状況にあるわけです。
2008年03月17日
「中小企業生産性向上プロジェクト」に基づく経営力の向上や中小企業の事業承継を支援する、地域力連携拠点事業が動き出しました。経済産業省が地域力連携拠点の募集を3月13日にスタートさせています。
地域力連携拠点事業とは、日本の強みである「つながり力」を更に強化することで中小企業の生産性を向上させる事業で、優秀な支援者を「応援コーディネーター」(全国で500人)として中小企業支援機関である「地域力連携拠点」に配置し、経営力の向上や事業承継など中小企業が直面する課題に対してきめ細かな支援を行うというものです。
この事業には国家予算が52億円つけられていて、商工会や商工会議所、金融機関、農協、NPO、民間企業などが同拠点として名乗りを上げることが予測されています。
この事業の特徴は、優れた応援コーディネーターが各拠点に配置され、支援を求める中小企業と専門家(応援コーディネーター)をピンポイントでつなげてくれる点にあります。
その専門家には、大企業のOBや各業種に特化したコンサルタント、中小企業診断士などが予定されていますが、事業転換や新たな分野へ挑戦する中小企業には、弁護士や税理士が対応してくれる仕組みになっていて、中小企業が苦手なリスクマネージメントができることが最大のメリットです。特に税理士には、多くの中小企業に関与している経験を通して、幅広い視野で助言してくれることを中小企業経営者らは期待しています。
2008年03月10日
さきごろ、総務省が公表した「平成20年度地方税に関する参考計数」が話題となっています。国民1人あたりの国税と地方税の負担率がバブル経済最盛期と同じレベルに達しているからです。
バブル経済は、昭和60年あたりから始まり、平成3年にピークを迎えます。そのピーク時の国民1人あたりの国税と地方税の負担(年度ベース)は、国税が511,469円で地方税が283,789円、その総額は795,258円で負担指数は994,073(昭和16年を100として算出)でした。これと、バブル経済が始まる直前の昭和55年の計数である国税と地方税の1人あたり税負担の総額が378,284円で、負担指数が472,855であったこととを対比すると、いかに負担が大きかったかが分かります。
そのため、バブル経済の頃は「節税」という言葉が非常にもてはやされたものでした。
ところが、今回総務省が公表した「平成20年度地方税に関する参考計数」によると、平成20年度の国民1人あたりの国税と地方税の負担は、国税が433,990円で、地方税が324,336円となり、総額が758,326円になると見込んでいます。負担指数も947,908となり、高級品が飛ぶように売れた平成元年から平成2年あたりの指数と同じになります。バブル経済のときよりも地方税負担が大きいのは、国から地方への税源移譲の影響ですが、総額負担がここまで大きくなると、またしても「節税」ブームが到来するかもしれません。
2008年03月10日
自民党が創設を検討している政府系ファンドに対して日本経団連の御手洗冨士夫会長が、「国民の税や年金保険料として徴収した資金でリスクをとることが適切なのか」と不快感をあらわにしました。
政府系ファンドの創設を検討しているのは、自民党の「資産効果で国民を豊かにする議員連盟」(会長=山本有二前金融担当相)で、国が国民から集めたお金を株式などに投資することで資金を運用する形式を想定したものです。
昨年12月の同議員連盟創設時から、税方式による資金集めが検討されてきていますが、ここへきて、厚生労働省内で年金積立金をファンドに組み込む案が浮上、舛添要一厚生労働相も2月6日の同議員連盟の会合で、個人的見解と断りながらも「年金積立金の運用は3分の1の50兆円だけは若干ハイリスクハイリターンがあるということでやると、国民も納得するのではないか」と述べ好意的な発言をしました。
これに反発したのが日本経団連の御手洗会長です。御手洗会長は記者会見で「日本が政府系ファンドを設立することは、税や年金保険料として徴収した資金でリスクを取ることが適切か、また『官から民へ』の流れに反しないか、など疑問が多く、慎重に検討する必要がある」として同議員連盟の議論にクギをさしました。
2008年03月03日
国税庁が、昨年12月26日から今年1月31日まで募集していた「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いの一部改正案」に対する意見の結果を公表しました。
同改正案に対する意見は、国税庁がホームページなどを通じて募集していたもので「78通の意見があった」としています。
現行の取扱いは「保険期間の経過により保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険のうち、『(1)保険期間満了時における被保険者の年齢が60歳を超え、かつ、保険加入時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が90を超えるものは、各事業年度の支払保険料の2分の1に相当する金額』、『(2)保険期間満了時における被保険者の年齢が70を超え、かつ、保険加入時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えるものは、各事業年度の支払保険料の3分の2に相当する金額』、『(3)保険期間満了時における被保険者の年齢が80を超え、かつ、保険加入時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が120を超えるものは、各事業年度の支払保険料の4分の3に相当する金額』をそれぞれ資産に計上する」としています。
改正案は「(1)について、『保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの』とし、また、(2)について『保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が95を超えるもの』にする」というものです。
寄せられた意見の中で、「改正への反対」や「取扱い自体への批判」に対して国税庁は「現行の取扱いが取引実態と乖離している状況にあると認められたことから適正化を図る必要があるため」としてすべて反論しています。
2008年03月03日
(社)信託協会の加盟社が行っている社内預金引当信託について、このほど、所得税の課税関係を国税庁が明らかにしました。同協会の照会に対して回答したものです。
社内預金引当信託とは、企業が従業員である社内預金者に対して負担する社内預金の元金の払戻債務の履行を確保するために行っているものです。賃金の支払の確保等に関する法律に規定されている保全措置に沿ったもので、企業を委託者兼収益受益者、社内預金者を元本受益者として、会社破綻等の一定の事由が生じたときに元本受益権が行使できる単独運用信託です。
この信託契約については、以前から存在していましたが、同協会が新信託法の施行に伴い、「元本受益者は会社破綻等の一定の事由が生じるまでは受益権を有しないこととする」など内容の見直しを行ったことから、同協会が国税庁に税の取扱いを照会していました。
その照会の内容は「社内預金引当信託の設定時においては、元本受益者である社内預金者に課税関係は生じない」とすることと、「会社破綻等の一定の事由が生じ、信託契約第17条に定めるところにより元本受益権が行使され、元本受益者である社内預金者が信託財産から弁済を受けた場合、当該元本受益者の社内預金元本額以下の部分の金額については、当該元本受益者である社内預金者の所得税法上の課税所得にはならない」とすることでした。
これに対して国税庁は「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない」としています。
2008年02月25日
東京都が、自動車税の納税通知書を確実に納税者に送付するため、引越しなどをした納税者のために、納税通知書の新たな送付先住所を届け出る専用ダイヤルを2月25日に設置しました。
東京都によると「昨年、5月初旬に納税者に送付した自動車税の納税通知書は、約234万通だったが、約4万通が宛先不明等で戻ってきた」としています。その戻ってきた納税通知書の宛先不明の理由のほとんどが、引越しなどで住所が変わっているものばかりでした。
自動車を所有する納税者は、引越しなどにより住所が変わった場合には、車検証の変更登録手続きが義務付けられています。具体的に、その車検証の変更登録手続きは、住所が変わった年の翌年3月末までに住所地を管轄する運輸支局又は自動車検査登録事務所において行わなければなりません。その手続きを怠る納税者が多いわけです。
東京都サイドとしては「変更手続きが遅れると、転居先の納税者の元へ納税通知書が届かないことがある」として困っていました。そこで、このほど、納税通知書の新たな送付先住所を届け出る専用ダイヤル(0570-064-154、PHS・IP電話からの場合は、03-5985-7811)を設けたわけです。この専用ダイヤルでの受付けは、休日を除く月曜日から金曜日までの毎日午前9時から午後5時までとなっています。また、自動車税の納税通知書の送付先住所変更は、東京都主税局のホームページ上( http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/info/henkou.pdf )でも行えます。
東京都主税局では「4月10日(木)までに、送付先住所の変更を届け出ていただければ、5月初旬に納税者の元へ平成20年度自動車税納税通知書を送付することができる」としています。
2008年02月25日
2月19日、衆議院の財務金融委員会で2008年度の税制改正関連法案の審議が始まりました。何といっても注目されているのは、道路特定財源の暫定税率の行方です。
政府・与党は、道路特定財源の暫定税率の向こう10年間維持を法案に盛り込んでいます。一方、野党の民主党は、暫定税率廃止について依然として方針を変えてはいません。衆議院と参議院で与野党の勢力が逆転しているねじれ国会の影響で、ここへきて、法案を年度内に通過させたい政府・財務省の思惑とは違った動きが出てきています。
自民党の主要な支持母体である石油連盟から、同法案の年度内成立ができない場合のことを予測して「手持ち品減税」を求める声が出始めました。ガソリンは製油所から出荷する段階で課税されるため、法案不成立により3月末で暫定税率が廃止されると、同一地域の給油所でも3月中に製油所を出た「高いガソリン」と4月以降の「安いガソリン」が混在することになります。現行の暫定税率が設けられた1979年の税率引き上げ時には、安い在庫と高い在庫の混在による混乱を避けるため、政府は安い在庫に税金をかける「手持ち品課税」を行った経緯があります。そこで、石油連盟は「逆に手持ち品減税もありではないか」というわけです。
財務省の津田廣喜事務次官は記者会見で、この道路特定財源の問題について「国民経済や国民生活が混乱しないでスムーズに行くように、年度内成立について是非お願いしたいと思っている。我々としては国会の場において、あるいはその外においトも、法案についてできるだけきちんとした説明をして、ご納得をいただけるように努力をしていきたい」と回答しています。
2008年02月18日
平成20年度税制改正関連法案に盛り込まれている「ふるさと納税」を積極的に活用しようと、このほど佐賀県が“納税者”に対してお品書きを示し話題となっています。
「ふるさと納税」は、いま開会中の通常国会に政府が提出している平成20年度税制改正関連法案に盛り込まれているもので、個人が支援したいと思う自治体に対して行った寄付金相当額が、住民票のある自治体の住民税などから控除される制度のことです。そもそも「ふるさとを大切にしたい」という気持ちをかたちに表すことを目的とした制度ですが、「税金は実際に公共サービスを受けている自治体に納める」という税の理念にそぐわないとして、昨年秋に大都市の首長らが導入に反対した制度でもあります。
しかし、政府自体がそのふるさと納税の導入を容認したことから、まだ法案段階ですが、その仕組みを大いに活用しようと地方の自治体が相次いで名乗りを上げています。その中で、このほど佐賀県が寄附をしてくれる“納税者”に対して、お品書きを示して話題を呼んでいます。そのお品書きは、納税するおカネの使い道を示したもので、納税者にメニューの中から何に使ってほしいかを選んでもらう仕組みになっています。
そのメニューには、名勝「九年庵の保全」やヨット世界選手権大会の会場となるヨットハーバーの整備、子どもたちへの本の贈りもの、高校生のスポーツ活動支援、県民協働のCSO(市民社会組織)の活動支援、知事におまかせコース―が書き込まれています。
2008年02月18日
社会保険庁が未払い年金を一括支給した際に、過大徴収した源泉所得税の還付問題で、舛添要一厚生労働大臣が「税法上の時効前の期間についても還付する」と発言したことから、国税庁と厚生労働省とが対応に追われています。
社会保険庁による源泉所得税の過大徴収とは、未払いとなっていた過去の年金を一括支給した際に、その支給金額総額を課税価格として所得税を源泉徴収していたというものです。そして、そのような課税処理をしたケースが昨年だけではなく過去にもあり、税金を過大徴収された人は4万人を超えると言われています。
原則として、年金を一括支給した場合、所得税の源泉徴収は各年ごとに税額計算をやり直して、支給総額から天引きしなければなりません。しかも、過大に徴収してしまった場合は、所得税の課税に5年間という時効があり、還付請求できる期間も5年とされているため、それ以上さかのぼって還付請求はできないことになっています。
したがって、平成14年以前に年金から多く徴収された源泉所得税は還付されないわけです。にもかかわらず、舛添厚労相は、記者からの質問に対して「5年間が時効だが、社保庁の責任だから国民が不利になるようなことは絶対に許さない」と発言しました。そのため、国民に誤解を招いてはまずいと判断した厚生労働省の江利川毅事務次官は「大臣は、ことの経緯から考えて何らかの対応をとりたいというお気持ちで言われたのだと思います」と火消しに走りました。
また、多くの人たちから税務署に問い合わせが殺到することが予測されたことから、今度は国税庁がホームページに「社会保険庁が発行した「公的年金等の源泉徴収票」の誤りへの対応について」と題するトピックスを掲載。平成14年以前のものまで還付することは、まだ決まっていないことをPRし始めました。
2008年02月12日
社会保険庁が年金未払い者に昨年、一括支給した際に源泉所得税を過大に徴収していた問題で、国税庁がこのほど日本税理士会連合会(日税連、池田隼啓会長)に納税者からの相談受入れなどで協力を要請しました。
社会保険庁の源泉所得税の過大徴収問題とは、年金未払い者に昨年一括支給した際に支給総額を課税価格として源泉所得税を徴収していたというものです。所得税の源泉徴収は、原則として各年ごとに課税価額を計算し徴収しなければならないことになっています。しかも、社会保険庁は昨年だけでなく、過去にも年金を一括支給した人について支給総額を課税価格として源泉所得税を課税していました。
そこで、国税庁は多くの年金生活者から今回の問題について相談が殺到すると予測、日税連に協力を要請しました。その要請の内容は「年金受給者から源泉徴収票が間違っているのではないかとの相談等があった場合には、社会保険庁(社会保険事務所)で確認していただき、誤りがあれば各年分の正しい公的年金等の源泉徴収票を再発行してもらった上で、平成19年分確定申告の手続を行うとともに、必要に応じて平成18年以前分の修正申告又は更正の請求を行うことを説明していただきますようお願いいたします」などとしています。
2008年02月12日
平成20年度税制改正の目玉となっている「事業承継税制」の根拠法となる「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案」が、2月5日に閣議決定されました。同法律案は、中小企業の事業承継をスムーズに進めることを目的としているものです。
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案」(事業承継円滑化法案)は、事業承継税制の拡充や民法上の遺留分制度による制約への対応を始めとする中小企業の事業承継をスムーズに進めるための総合的な支援策の基礎となるものが盛り込まれたものです。今回の閣議決定を受け、現在開会中の通常国会に間もなく提出されます。
同法律案の施行予定日は、平成20年10月1日とされていて、もし、国会での審議の結果により、その施行日が遅くなった場合のことを想定して、民法の特例と相続税の課税に関する措置については、同法の施行日より遡及適用となることが規定されています。
相続税の課税に関する措置とは、経済産業大臣の認定を受けた非上場中小企業の株式等に係る課税価格の80%に対応する相続税を納税猶予するというものです。要件としては、雇用確保や5年間事業を継続することなどが平成20年度税制改正関連法案に盛り込まれています。
一方、民法の特例については、一定の要件を満たす後継者が、遺留分権利者全員との合意及び経済産業大臣の確認や家庭裁判所の許可といった手続きを経ることを前提に、(1)生前贈与株式を遺留分の対象から除外して、相続に伴う株式分散を未然に防止する(2)生前贈与株式の評価額を予め固定して、後継者の貢献による株式価値上昇分が遺留分減殺請求の対象外とする―という措置が講じられます。そのほか、株式や事業用資産の取得資金、信用力の低下時の運転資金など幅広い資金ニーズに対応した措置も用意されています。
2008年02月04日
定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成19年分の適正な利率が発表されました。平成19年分の平均利率は1.7%です。
国税庁と国土交通省は協議により、定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成19年分の適正な利率をこのほど決定し、国土交通省は早速、不動産関連の団体に対してその平均利率を周知し始めました。
国土交通省が周知している内容は「定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預託を受ける保証金(賃借人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない)の経済的利益の所得税の課税に係る平成19年分の適正な利率については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げるとおりとする。
1、当該保証金が各種所得の基因となる業務に係る資金として運用されている場合又は当該業務の用に供する資産の取得資金に充てられている場合、両建の経理の場合の適正な利率は、平均的な長期借入利率によるべきであるが、1.7%としても差し支えない。2、この1の場合以外で、かつ、当該保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のときは、利息に相当する金額を計算する場合の適正な利率は、各年中の10年長期国債の平均利率によることとしており、平成19年分については、1.7%となる」としているものです。 。
2008年02月04日
国税庁が所得税の納税証明書の交付請求書の様式を一部改正しました。これまでは、証明書の種類「その2」は、所得金額のみを証明するものでしたが、今回の改正で所得の種類別に証明してくれる形に変わりました。
国税庁が法令を解釈した通達の「納税証明に係る交付請求書及び証明書様式の制定について」の一部改正を行いました。国税庁が申告所得税について発行してくれる納税証明書には、「納付すべき税額や納付済額、未納税額を証明したもの」(その1)と「所得金額を証明したもの」(その2)、「未納税額がないことなどを証明したもの」(その3)、「滞納処分を受けたことがないことを証明したもの」(その4)があります。同通達には、これらの証明書を交付請求する書面の様式が定められているわけですが、今回の改正では「その2」の様式が一部改正されました。
納税証明書「その2」は、これまで所得金額のみ証明していましたが、今回の改正で所得種類別の証明を可能としています。
具体的には、納税証明書交付請求書の中にある「証明書の種類」の欄の「その2」に、これまでは「証明を受けようとする事項」については「所得金額」とだけ記載されていました。今回の改正により、その記載が「所得金額、※申告所得税の証明の場合、所得種類別の証明も可能です。□には証明を受けようとする事項にレ印を記入してください」とされ、さらに「□総所得金額の証明、□事業所得金額の証明、□上記以外の所得金額の証明」という選択肢が盛り込まれました。
2008年01月28日
日本公認会計士協会と日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会の4団体が「中小企業の会計に関する指針」の改正に関する公開草案の公表を行いました。
4団体が設置している「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」では、平成19年4月27日の同指針改正後も継続して同指針の見直しについて検討をつづけていますが、このほど、同委員会が平成20年改正に関する公開草案を承認しました。そこで、4団体が同公開草案を公表したわけですが、今回の改正では、企業会計基準委員会が公表した各種の企業会計基準等のうち、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」及び同第13 号「リース取引に関する会計基準」に対応した会計処理の見直しが主要な改正項目となっています。
まず、棚卸資産の評価基準についてですが、これまでは「原価法又は低価法を用いる」ことになっていました。それに「棚卸資産の期末における時価が帳簿価額より下落し、かつ、金額的重性がある場合には、時価をもって貸借対照表価額とする」という新たな取扱いが加えられています。そして、「棚卸資産は、原価法又は低価法により評価し、原則として継続適用する。 (1)棚卸資産の期末における時価が帳簿価額より下落し、かつ、金額的重要性がある場合には、時価をもって貸借対照表価額とする。なお、次の事実が生じた場合には、その事実を反映させて帳簿価額を切り下げなければならないことに留意する必要がある。イ、棚卸資産について、災害により著しく損傷したとき、ロ、著しく陳腐化したとき、ハ、上記に準ずる特別の事実が生じたとき。(2)、(1)における時価とは、原則として正味売却価額(売却市場における時価から見積追加製造原価及び見積販売直接経費を控除した金額)をいう」とされました。
一方、「リース取引に関する会計基準」については、すべて新設で、「所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手は、通常の売買取に係る方法に準じて会計処理を行う。ただし、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。この場合は、未経過リース料を注記する」ことを前提として、細かな取扱いが定められています。
2008年01月28日
平成20年2月に国税局と税務署が、第4回目のインターネット公売を実施します。今回も納税者の差押財産がネット上でセリにかけられますが、掘り出し物も数多く出品される模様です。
第4回インターネット公売の参加申込期間は、平成20年1月31日(木)午後1時から2月13日(水)午後5時までとなっていて、ヤフー社の官公庁オークションサイトで受け付けをしています。
公売保証金納付期限とその他必要書類の提出期限は、2月18日(月)となっていて、公売保証金の納付方法については、原則としてクレジットによる納付のみとなっています。次に、買受申込期間ですが、2月20日(水)午後1時から2月22日(金)午後1時までで、これについてもヤフー社の官公庁オークションサイトで受け付けています。落札者の決定は、2月27日(水)午前10時となっていて、動産(宝石・絵画等)の売却決定は、同日の午前11時に行われる予定です。自動車の売却決定は、3月5日(水)午前9時で、買受代金(落札代金)の納付期限は、3月5日(水)午前10時となっています。
公売は、滞納となった税金を徴収するために納税者の差押財産を強制的に売却する制度で、インターネット公売は、買受申込みなどの公売手続の一部について、実際の公売会場において行うのではなく、インターネットを利用して行うものです。これにより、買受人の利便性の向上が図られ、多くの人の公売への参加が期待されています。
2008年01月21日
1月18日に召集された通常国会の焦点について、揮発油税(ガソリン税)の暫定税率の継続問題にあると多くのマスコミが取り上げていますが、じつは、証券業界では株式譲渡益課税の強化を危惧する声が相次いでいます。
ガソリン1リットルあたりに25円税金が暫定的に上乗せされているガソリン税と、軽油1リットルあたりに17.1円税金が暫定的に上乗せされている軽油引取税、自動車を購入する際に購入価格の2%の税金が暫定的に上乗せされている自動車取得税は、いずれもその暫定上乗せ措置が今年3月末で期限切れとなります。
そこで、その暫定上乗せ措置の継続を決めている与党の租税特別措置法改正案に民主党などの参院野党が反対すると、一時的ですが、暫定税率が廃止され減税されることになります。その仕組みは、同法案など予算関連法案が2月中旬に衆院で可決され、参院に送られる見通しで、参院送付後野党の徹底抗戦で60日を過ぎれば、憲法の規定で否決されたとみなされます。4月中旬には衆院で与党が3分の2以上の賛成により再可決することが考えられますが、4月1日からその衆院の再可決までの期間は廃止されるわけです。ともすると、参院野党がその衆院再可決で内閣に対して問責決議案を提出して総選挙に発展して、与野党逆転で暫定措置完全廃止となる可能性もあります。
減税ですから、多くの国民が歓迎しているわけですが、じつは、証券業界には逆に同法案の衆院再可決を恐れる声があります。今国会に提出される租税特別措置法改正案には、来年以降も一部ですが証券優遇税制の継続が盛り込まれているからです。総選挙で与野党逆転した場合は、証券優遇税制が完全廃止になる可能性があるため、参院野党の出方に強い関心が寄せられているわけです。日本証券業協会では「与野党が逆転したからといって何もかも元に戻ってしまうようなことは、通常の国ではないのではないか」として行方を見守っています。
2008年01月21日
東京都が独自の固定資産税・都市計画税の軽減措置について、平成20年度も継続する方針を明らかにしました。
東京都の独自の固定資産税・都市計画税の軽減措置とは、「商業地等に対する負担水準の上限引下げ措置」「小規模非住宅用地に対する減免措置」「小規模住宅用地に対する軽減措置」「新築住宅に対する減免措置」の4つです。
具体的には、「商業地等に対する負担水準の上限引下げ措置(負担水準が65%を超える商業地)」には固定資産税・都市計画税が負担水準65%に相当する税額まで軽減されています。次に、「小規模非住宅用地に対する減免措置(面積400㎡以下、土地の部分は200㎡までの部分)」では、固定資産税・都市計画税が2割減免となっていて、「小規模住宅用地に対する軽減措置(面積200㎡までの部分)」は都市計画税が2分の1軽減されています。
これらについて東京都は、平成20年度においても継続することにしました。ただし、新築から3年間、固定資産税・都市計画税が全額から2分の1減免される「新築住宅に対する減免措置(平成12年1月2日から平成20年1月1日までに新築された住宅)」ついては、「創設当時の目的を概ね達成している状況等を踏まえ、現行の適用期限を1年間延長する経過措置を講じた上で廃止する」(東京都主税局)としています。
こうした軽減措置の継続について東京都主税局では、都税条例改正案として平成20年の第1回東京都議会定例会に提案する予定です。
2008年01月15日
政府が1月11日、平成20年度の税制改正要綱を閣議決定しました。これを受け、早くも平成20年度税制改正法案の国会審議の行方が取り沙汰されています。
閣議決定された税制改正要綱には、税収の増収(増税)と減収(減税)の金額が示されていますが、改正が最終的にすべて実行された場合、証券税制の優遇措置や不動産売買に伴う登録免許税の軽減措置の廃止・縮小などにより、平年度ベースで国税が3,600億円、地方税が442億円、計4,042億円の増税となることが示されました。ただし、増税措置は段階的に年度をまたいで実施されるものがあるため、20年度は国・地方で70億円の減税となる見通しです。
同要綱の閣議決定により、税制改正法案の骨子が明らかになったわけですが、問題は、衆議院と参議院で与野党の勢力に違いがある、いわゆるねじれ現象があることから、例年のようにスムーズに法案が年度内に成立するかどうかが懸念されていることです。そのため、財務省の津田廣喜事務次官は記者会見で「税制改正法案で言えば、例えば年度内にこれが成立しないというような事態にもしなりますと、歳入が思ったほど入らないというだけに限らないわけでありまして、経済取引への影響を通じまして、国民生活に混乱が生じる恐れも否定出来ないと考えます」と国会を牽制しました。
また、年度内成立のために財務省では「税制改正の法案で言えば、例年2月の初めぐらいに閣議決定を経て国会に提出しているわけであります。今年の場合は、関係者、法案作成に当たる職員は年末年始の休みも返上して法案の作成作業に今取り組んでおりまして、時期ははっきりまだ決まっておりませんけれども、例年よりは少しでも早く国会に提出をするように全力を挙げているところでございます」と津田事務次官は同じ記者会見で、裏方の激務を紹介して情に訴えました。
2008年01月15日
首相官邸にある規制改革推進室が、全国規模の規制改革要望に対して各省庁が回答を行ったものへ再検討を要請したことを明らかにしました。その中には、税理士資格の特権的付与の廃止が求められています。
今回、同推進室が各省庁に再検討を要請したのは、昨年10月15日から11月14日までに寄せられた「全国規模の規制改革要望」について、関係省庁が昨年の暮れに回答したものの一部です。
その再検討を要請した改革要望には財務省に対するものもあり、そのなかで税に関するものとしては、全国青年税理士連盟が要望した税理士資格の特権的な付与制度の廃止があります。同連盟の要望の内容は「税理士資格は、国家試験である税理士試験合格による資格取得が、公平・公正であり、弁護士及び公認会計士、税務官公署職員に対する特権的資格付与は即刻、廃止すべきである」としたものでしたが、財務省は全面的に廃止できないと回答してきました。そこで、同連盟はその回答に納得できなかったことから同推進室に不服を申し入れ、再検討要請に至ったわけです。
同連盟が財務省に求めた再意見の内容は、弁護士・公認会計士への資格付与については、司法試験・公認会計士試験も「税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定する試験ではない」とし、税理士試験の受験を重要視していないとしています。また、税務官公署実務経験者に対する資格付与については、「彼らの実務経験がなぜ税理士としての資質を持っていることになるのか」ということと、「税理士を無償独占の名の下に税務官公署の下請機関的に使おうとしているのではないか」などといった質問を投げかけ、再度同制度の廃止を求めています。
2008年01月07日
国税庁が税務上取り決めている「使用人から執行役員への就任に伴い退職手当等として支給される一時金」に関する取扱通達のQ&Aを作成しました。
執行役員制度は、日本では1990年代後半から民間企業の間で「経営に専念する人(取締役)」と「業務の執行に専念する人(執行役員)」を分離して役割分担を明確にするコーポレートガバナンスの観点から導入され始めたものです。
執行役員制度で税務上もっとも問題となるのは、一般の社員から執行役員に昇格するときに会社から支給される退職金という名目の一時金でしたBそれに対して、国税庁は同取扱通達で「執行役員と会社との契約が、委任契約又はこれに類するものであり、かつ、執行役員退任後の使用人としての再雇用が保障されているものではないこと」などの要件を満たせば、会社が支給するその一時金については、退職所得として扱っても良いとしています。そうでないものは、賞与として取り扱われます。退職所得に課税される所得税は、支給金額から退職所得控除額を差し引いた金額の半額に税率をかけて計算します。したがって、退職所得の方が賞与よりも税負担がずいぶん軽いわけです。
今回国税庁が作成したQ&Aには、「取締役から執行役員へ又は執行役員から取締役へ就任した場合」について、「原則として、いずれも退職所得として取り扱う」と回答するなど、これまで不透明だった点が明らかにされています。
2008年01月07日
12月26日に民主党が独自の税制改革大綱を発表しましたが、その中で注目されているのが、揮発油税などの道路特定財源に盛り込まれている暫定税率(原則税率に上乗せされている税率)を廃止するとしている点です。
衆議院と参議院で与野党の勢力が逆転している、いわゆる“ねじれ”現象が生じているため、このほど、民主党が公表した税制改革大綱が与党サイドで取り沙汰されています。自民党議員からは「普段は税制改正項目を一括して法案として出しているが、国会が紛糾したときのことを考えて今回は税法別に出した方が良いのではないか」といった声が聞かれます。
政府の平成20年度税制改正案に対して、民主党からの強い反発が予想されるのが道路特定財源の扱いです。民主党の税制改革大綱では、道路特定財源について「地方分も含め全て一般財源化して、暫定税率を撤廃する」といった方向が示されています。
一方、政府は道路特定財源について、「中期計画に基づく真に必要な道路の整備は計画的に推進する」とし、また、「高速道路料金の引下げなどの措置は着実に実施して行く」ことなどを取り決めて暫定税率は現状を維持する方向です。民主党の道路特定財源に対する見直し案について、記者会見で質問された財務省の津田廣喜事務次官は「政府と与党との間では、厳しい財政事情や環境面に配慮し、暫定税率による上乗せ分も含めて現行の税率水準を維持する必要があるということが決まっています。我々としては、通常国会に法案を提出して、政府の考え方を十分ご説明をし、国会のご理解をいただくよう努力をしたい」と語りました。